初恋は永遠じゃなかった。本当はアルファロメオに乗りたかったんだ、ホントは

初恋は永遠じゃなかった。本当はアルファロメオに乗りたかったんだ、ホントは

いきなり僕の話になって恐縮だけど、子育てが一段落したんだ。
家族4人でクルマに荷物たくさん積んで山に行ったりスキーに行ったり、そんなことももうやらないかな、という年代になった。

こんな大きなクルマ(前はSUVだった)はいらないよね、僕が好きだった小型の、シャキシャキ走るクルマにしてもいいかな。
とはいえ、家族で帰省したりするときのために、最低4人が乗れればいいよね。
そんな夫婦の会話もあって。

だったら、まだ子どもたちが生まれる前、僕が大好きだったアルファロメオにもう一回乗りたい。乗っていいよね? ということになった。

昔乗っていたのは、105系と呼ばれる1960〜70年代にかけてのアルファロメオ黄金期の一台。すごい前、昭和時代の話。
アクセルペダルとエンジンが直結したようなダイレクトなレスポンス、パラレルロールでグーッと回り込んでいく、あの身のこなし。交差点を曲がるときだってスポーツを感じさせてくれていたあのクルマは、まさに僕にとって理想的な一台だった。

しかし、いまのアルファロメオのメインはFFで、しかもエンジンはフィアット製に取って代わられている。
でも歴史と文化を大切にしているあのブランドだったら、昔の乗り味がどこかに残っているんじゃないか。また僕を熱くしてくれる遺伝子がきっとある。そう信じていた。

でも、サクッと結論を言ってしまえば、現代のアルファロメオは、僕が理想としていたアルファロメオじゃなかった。

試乗したのはFFになったジュリア。フィアットのマルチエアエンジンを積んだ5ドアハッチ。1750ターボのクワドリフォリオもあったけれど、そこまでの予算はない。

まず、エンジンにときめかなかった。エンジンはマルチエア1.4。ダウンサイジングターボなので低速トルクはあるけれど、ファットで重くなったクルマをビビッドに動かすほどではない。スポーツモードに切り替えたらそれなりに活発になったけれど。
でも、自分の思いがアクセルからそのままダイレクトにエンジンに伝わっていた、昔のエンジンのフィールはもうない。

乗り味も残念。まず硬い。そしてロールしない。ドイツ車みたいになっていた。
アウト側の全後輪が一緒にグッと沈み込んで、コーナーをひらひらと蝶のように姿勢を変えて軽快に駆け抜けていく、あのフィールを楽しむことはできない。昔のアルファロメオは、そんな並行ロールで、美しく優雅に走ったんだよ。

いくら良かったといっても、僕の心に残っていたのはもう40年近くも前のクルマ。
このとき乗ったジュリエッタは、初代から数えて、これで3回目の登場。ブランドとネーミングは同じだけれど、もはや別モノだ。いつまでも同じじゃない。
初恋は永遠じゃないってこと、あらためて思い知った。

まあ、これが現実ってヤツだよな。
そんなことを考えていたとき、ふっと思い出したのが、サソリのエンブレムを付けたこのクルマだったんだ。
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