本当に、本当に快感だった、アルファロメオ エンジン [ただし105系の4気筒に限る]

本当に、本当に快感だった、アルファロメオ エンジン [ただし105系の4気筒に限る]
画像はこちらより http://delauto.jp/fw/cars/view/120

「陽気で開放的」と、昔乗ったアルファロメオのエンジンの性質を書いた。

僕がここで「アルファのエンジン」と言っているのは105系、1960年代から70年代にかけて大人気だった、ジュリアのベルリーナ/ヴェローチェ系のエンジンのこと。1990年代以降の、フィアット製のエンジンではない。

このエンジンの回転フィールやタッチのイメージは、僕の中ではイタリアの女優、ソフィア・ローレンだ。
ソフィア・ローレンといえば、この映画「ひまわり」でしょうか。

映画の原題はイタリア語で「I Girasoli」、日本語で「ひまわり」。
埼玉のアルファ専門店のレーシングチームも「Girasole」を名乗っていて、このひまわりを巡る思いに、なんだか縁を感じます。

日本でまたソフィア・ローレンといえば、このCMが懐かしい人もいるかも。

 



 

ソフィア・ローレンというと、こんなキーワードがぴったりの女優だった。

「ゴージャス」
「リッチ」
「グラマラス」
「豊満」
「贅沢」
僕より上の世代で大好きな人も多い。ちなみに僕はアグネス・ラムから烏丸せつこの時代の人(笑)。

そんなキーワードがアルファ エンジン(くどいですが、フィアット製のではない)にも、ぴったりあてはまる。

とろり、とろけるような回転のフィール、そこから生み出されるリッチなパワーフィール。
決して鋭すぎず、アクセルを踏む人の気持ちが分かっているかのような、心地よい間合いのレスポンス。
いいレストランに行くと、こちらが何か頼もうと思ったとき、スッとウェイターやメイドが寄ってくるでしょ。あんな感じの“あうん”の呼吸がエンジンとドライバーの間に芽生える。

昔、僕が乗っていたクルマたち

このエンジンと一緒に走るということは、エンジンとの豊かな会話を愉しむということ。高まる一体感、その時間のなんと濃密で贅沢なこと。
ちょうど、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが砂浜で抱き合っている「ひまわり」のあのシーンのような。

あの映画自体ははとても悲しいストーリーだったけれど、情熱的な恋の場面とか、一面に広がるひまわりの映像とか、ああいう燃え上がるようなシーンが、アルファ エンジンのフィールと重なって、僕の心にとても鮮明に残っている。

それに、「ラッタッタ〜」でも見せてくれたソフィア・ローレンの、いかにもイタリア人的な陽気で開放的な性格、あれもまさにアルファ エンジンのイメージそのまま。
アルファをドライブしていると自然と気分が明るく、とてもポジティブな気分になっていた。あれは他の、例えばドイツ車とかイギリス車には無い体験。その一番の要因は、あのエンジンだった。

明るくて気さくで、しかも美人。

そんな人は誰だって好きになってしまう。ずっと一緒にいて、話をしたりしたくなる。
アルファ エンジンの魅力は、まさにそういうことだったと思う。

あのエンジンは初代ジュリアシリーズや最終的に1990年代まで生き延びるFRスパイダーのほか、トランスアクスルのアルフェッタやジュリエッタ、ヘッドをツインスパークに換装されて75や155の前期モデルにも搭載された後、1990年代半ばにフィアット製のFireエンジンに取って代わられた。

僕はといえばその間、日常をドタバタと過ごしていて、クルマを持てない時期もあった。そんな状況も20世紀を10年ほど過ぎたあたりにようやく一段落して気持ちがホッとしたら、「もういちどアルファに乗りたい」「あの贅沢な時間をクルマと過ごしたい」という思いがむくむくとわき上がってきた。

そして、いろいろ探したあげく、結局辿り着いたのはいま乗っているアバルト プントだった。
このクルマを選んだときは、以前乗っていたアルファ エンジンのフィールに一番近い現代のクルマを探し当てた! つもりだった。
けれど、冒頭リンク先のクルマ評でも書いた通り、アルファとアバルト、両車のエンジンはニュアンスが微妙に違っていて、アバルト プントの方はこんな風に書いた。

最初っから、マジ。アクセルを開ければ開けるほど、コーナーでスピードを上げれば上げるほど、「もっと踏め」「もっと行け」とドライバーにせっつく。若い女に誘惑されて性欲の泥沼に嵌まるかのよう。まさにサソリの毒。本文はこちら

そんなサソリの毒もけっこう気に入っているけど、本当のことを言うと、いまでもアルファのエンジンが恋しくないわけではない。でも、現代のアバルトにも乗りこんだ今だから確信しているけど、アルファとのあの体験をもういちど楽しむなら、もはやあの時代のアルファをもういちど手に入れるしかない。

昔に返りたい。その思いはまさに、映画「ひまわり」のソフィア・ローレンと同じ気持ち。だけど、実際に再会してみたら、お互いの状況が変わりすぎていて、、、なんて映画同様の悲しい結末になるのも怖いな、と思ったりもしている。

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映画「ひまわり」の本国版パッケージ? この方が雰囲気があっていい感じ。