クルマの歌を聴け [ 自分の走りのぶっ壊し方が、ちょっと見えてきた気がした ]

クルマの歌を聴け [ 自分の走りのぶっ壊し方が、ちょっと見えてきた気がした ]
いつもの仲間と、初めてのツクバ1000

完璧な走りなどと言ったものは存在しない。完璧なクルマが存在しないようにね。

「ぶっ壊す」などと威勢のいいこをとぶち上げたものの、

「じゃあ、どう壊すんだ?」

と、自分のコトバがブーメランのように戻ってきて、解決できずに過ごしていた。

そんな状況のまま、こんどはツクバ1000の走行会に行ってきた。
ミニサーキットなので、そんなに速くないスピードで曲がる練習ができるし、
15分×5本なので何回も繰り返せるし。
ぶっ壊し方が見つかるかも、という期待があった。

 



 

とにかく、ゆっくりとしたスピードで始めて、だんだん限界に近づけようと思っていた。最初は。でも当日、プロのドライバーの同乗走行があって、それも最初の周回から。思いがけぬ体験だったけど、それがちょっと予定を狂わす結果になった。

最初からプロのライン取りを教えられ、そのライン上をそれなりのスピードでトレースしてもらったおかげで、自分がハンドルを握り直してからも、わりとスムースに走り出すことができた。
でも、そのおかげで、タイムを縮めるためにはどうしたらいいか、分からない状況になってしまった。

テスト問題をやるのに最初から答えを教えてもらったのと同じで、解答は書けても、“解き方”を教わってないので、応用が利かなくなってしまった。そんな状況。

4回目の走行のとき。この日はプロのドライバーがもう一人来ていて、彼が最終コーナーで僕らの走りを見ていた。僕も最終コーナーを立ち上がるとき、そのプロがガードレースのあちら側で視線をコースに向けているのを見ていた。

その最終コーナーが、どうも気持ち良く立ち上がれない。ライン取りに問題があるのか、クルマの向きの変え方が悪いのか、あれこれ悩んで試しているうちにチェッカーが振られた。
パドックに戻ってきて、さっき最終コーナーにいたプロが一人でいるのが見えた。チャンス! 近づいて「最終コーナーの曲がり方を教えてください」と聞いたら、「苦労してましたもんね、さっきも」と。しっかり見られてた(やっぱり)。

最終コーナーとその前のコーナーからのライン取りや、ブレーキの使い方などを具体的に伝授してもらった。
それだけでなく、クルマの動かし方を、かなり時間をかけてじっくりと教えてもらった。

ブレーキを踏む、前のタイヤに荷重をかける、そしてブレーキをリリースしながらハンドルを切る(タイヤ荷重を前後方向からヨー方向に切り替える)。そのときのクルマの動き、タイヤの働き方や路面との状況をつかむために、手のひらをしっかりとハンドルに当て、それ越しに感じ取る。

「クルマと対話しなさい」

と言っていたのだ、あのプロは。
と、気づいたのは帰りの高速道路上のこと。相変わらず気づくのが遅い。だから速くなれないのか orz

これまでは、主人は僕、プントはしもべとなって僕の言うことを聞け!という感じの走り方、というか走らせ方をしていた。孫悟空とキントン雲のような。

そうじゃないよ。ちがうよ。と、あのプロは言いたかったんじゃないか。
クルマの動きをていねいに把握しつつ、その動きを邪魔しないよう気づかいながら、次のアクションに導いてあげる。そうすればクルマは気持ち良く曲がっていってくれる。そうなれば、自然にタイムもついてくる。
そのためには、クルマが次どうして欲しいか感じ取れるような感性を養う必要もある。そんなこともプロは言っていた。

ドライバー > クルマ、ではなく
ドライバー = クルマ、の関係。

「クルマの歌を聞け」ってことじゃないか。今の僕には。
自分が好き放題にハンドル切ったりアクセル踏んだりするのではなく。クルマの感情を受け止め、対話できるドライビングの感性。

そういえばサーキット仲間から「頭で考えてばかりいないで、やってみないと」ともアドバイスされた。きっと、プロのアドバイスと同じことを言ってる。

何となく、自分の走りのぶっ壊し方が、わかってきた気がした。

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この春注目のブランニュータイヤ。この夏はこれでタイム短縮する人が増えるんだろうな。それにしても高い ( ・_・;)