これで500万円近くしちゃうのかー [ メルセデス・ベンツ CLA180 シューティングブレーク乗ってみた記2 ]

これで500万円近くしちゃうのかー [ メルセデス・ベンツ CLA180 シューティングブレーク乗ってみた記2 ]
Zの方が運転してずっと楽しそう!

高速道路の高速コーナーで、尻が出る。
フツーにコーナーに進入して、フツーにハンドル切っただけなのに、ロールしはじめた途端、与えられた仕事を放り出すみたいに、尻が出る。すぐ出てしまう。

同じシチュエーションと条件、運転のしかたでウチのアバルト プントでこの道を何度も通ったことあるけど、こんな腰砕けはいままでなかった。なので超ビックリ! 最廉価版のAシリーズとはいえ、天下のメルセデスですよ。こんなに走りがチープだったなんて。

で、出た尻をステアリングで微修正すると、前後タイヤのバランスが崩れた感じでぐにゃっとした感触が返ってきて不安になる。
サスペンションのセッティングのせいなのか、マッド+スノーのタイヤ(Continental ExtremeContact 225/40)の特性なのか。

このモデルは全長が長い、なので前後バランスも微妙に狂ってるかもしれない。
Aシリーズ、ふつうの5ドアハッチバックが、4420mm。
対してこのシューティングブレークが、4670mm。

その、250ミリ伸ばしたラッゲージルームに、今回は僕を含め家族4人とその1泊分の荷物が積まれてる。
ほぼフルロード、重量バランスも良くないだろう。確かに条件は悪い。
だけど、何度も書くけど、同じ条件でもウチのアバルト プントではそんな無様なことにはならない。なんだかな。最新のメルセデスなのに。

横方向の踏ん張りがきかないせいか、横風にも弱い。
「高速の橋渡るとき、クルマがピクピクしてたよねー」と後席にいた家族。
「背がそんなに高くないのに、横風にずいぶん敏感なのね」と助手席の家人。
同乗者にもモロバレの剛性の低さ。確かに風はあったけど、道路脇の吹き流しは、水平になるまであと15度くらいはあった。

ただ、この件と、つぎに言う直進性には、アンダーパネルとかディフューザーも関係あるかもしれない(このクルマには非装着)。

 



 

そう、直進性も良くないんだ。FFなのに、メルセデスなのに。
高速道路を走っていて、ステアリングの入力に過敏なくらいクルマが反応する。行きたい方向に保とうとするには、ステアリング操作にけっこう神経を使う。
以前のFRのメルセデスみたいに、高速走行中、ステアリング握ったままクシャミしてもクルマ自身がまっすぐ走り続けてくれる、そんなことはまずない。花粉症の季節、大丈夫なのか?(笑)

昔々、昭和時代のFFジェミニが、これと似た感じの走りだった。「街の遊撃手」を広告で名乗って、いま風に言うとアジリティ(敏捷性)を売りにしてた。今のメルセデスみたいに。
街中のスピードではキビキビ感があって走ってて楽しかったけど、高速でもキビキビし過ぎて、まっすぐ走らせるのにはものすごく神経を使った。
あれの現代版が、このメルセデス・ベンツ CLA180 シューティングブレークという感じ。

とはいえこのCLA、車重は1.5トンもあるし、パワーは120psくらいしかないので、そんなに目覚ましい走りは望めない。一人乗りでやっと軽快に走るかな、という程度。
で、頑張った走りをすると、冒頭に書いたようにクルマがイヤイヤをする。

昔のノーマルのアルファロメオ ジュリア系がそうだったように、カッコはいいけど走りはそこそこ、あんまり突っ込まないでね、というクルマだ。
だけど、アルファロメオにはあるのに、このメルセデスにはないものがたくさんある。ついアクセルを開けたくなる官能的なサウンドとか、やる気にさせてくれるエンジンのバイブレーションとか、ビビッドで正確なステアリングの手応えとか、とか、とか。

要は、クルマとして昔のアルファロメオよりかなりつまんない。気分がアガらない。実用的だけど退屈。
「ブレーク」と名乗ってはいるけど、人も荷物もたくさん積んで走るとボロが出る。走りの質感が良くないので、スピード出しても疲れるだけで楽しくない。
一人で、あるいは恋人といっしょに、あるいはまだ子供が小さい家族連れで、近所のおしゃれカフェとか、おしゃれ雑貨屋さんとかにトボトボ走って行く、そのくらいの用途でちょうどいいんじゃないか。おしゃれ小物くらいだったら、ラッゲージに置いといても操安性は変わらないだろうし。

ただ、今回乗ったのはエントリーモデル(とはいえ乗り出し500万円くらいするけど)。なので、本当にビシッとした高性能な“真のメルセデスワールド”を体感したいなら、これの2倍近いお金を払ってAMGモデルを買うべきなのか。
だけど僕はそんなにお大尽じゃないし、それだけあったらもっと他に欲しいモノがある。アバルト プント S2000とか、初代ジュリアのクーペとか、ルノーサンクとか、フォクトレンダーのレンズとか、とか、、、

ちょっと書きすぎたかな、と反省して、これを書きました。

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この本ではいつもメルセデスが中心だった