いまどきイグニッションコイルなんて? いえいえ、付けると凄いんですって(付けてない!)。[HIGHSPARK SPORT IGNITION COIL ]

お大尽の豪邸の庭にちょこんとある石をくりぬいて作った金魚鉢のような、小さな小さなアバルトの世界。
そこで、いま、あるパーツがちょっとした話題になってます。

「HIGHSPARK SPORT” IGNITION COIL」

“エンジン音が変わるほどの、ものすごいスパーク!”
“目覚ましいトルク感、ダッシュが違う!!”
“発進加速で軽自動車に負けなくなった!!!”(おいおいw)

などと、ちょっと怪しいサプリ通販なみの「ユーザーの声」を聞いてます。
もちろん、それらは「あくまでも本人の感想です」なんだけど、通販広告とは違って直接本人から僕が聞いているから、ウソではないでしょう (^_^)

 



 

「良いガス、良い空気、良い火花」
が昔からのエンジンチューニングの“鉄則”。

電磁ポンプでしっかりとガソリンを送り込んでやって、
エアクリ(もしくはファンネル)から取り入れた大量の空気で気化させて、
強い火花で一気に爆発させる。

そうすればパワーが得られる。ってことを、むかし通ってた工場のメカが「いいか、よおく聞け」と、鼻の穴をおっ広げながら説明してくれてた。

そういえば当時乗っていたベレットが、点火にフルトラを付けていた。そのおかげで、低速からトルクがしっかりと出て、当時20年落ちの大古車だったけれど、初期加速だけはまわりのクルマと遜色なく走れていた。
そんな体験があるから、現代にもイグニッションのチューンは通用するのかな、とちょっと期待してた。

その一方で、最近のクルマはそうした「きほんのき」も電子制御で最適化されて、特に気にする必要がなくなったはず。
コイルなんて、いつの間にかプラグごとに装着されて、L字型のプラグキャップなんて過去の遺物になってたし。真っ赤なプラグキャップとコード、エンジンルームで目立ってカッコよかったんだけどね。
それもあって最近は、ECUだとかサブコンだとかコンピューター系のチューンにばかり目が行くようになり、イグニッションコイルなんていまさら、、、という気持ちもなくはなかったんですけどね。

要は、半信半疑。
なので付けてみよう、と思ったのですが、、、、

結論から言うと、うちのMultiAirエンジンのアバルトプントには付かなかった。同じMultiAirの124スパイダーには着くのに!

なぜか。
それはエンジンのヘッドカバーの形状(デザイン)が、124とEVOでは異なっていて、124だとコイルが刺さる(1本は要加工)のに対し、EVOのヘッドカバーだと、4本全部が刺さりきらない。

僕も工場で確認したんだけど、プラグの穴の周囲が、EVOのヘッドカバーはプラグホール周辺が124系のものより凸状になっている。その凸でコイルの頭が浮き上がり、ボルト締めできない。装着するにはコイルの頭を凸のカタチに合わせて削る必要があるけど(実は124ではちょっと削ってる)、かなり削らないとダメで、そうなるとコイル自体の性能や耐久性とかにも影響しそう。

同じMultiAirエンジンでも、ヘッドカバーのデザインが変わってるなんて、まったくの盲点だった。

124に付くから、EVO系でも大丈夫だろう。
そんな甘っちょろい考え、イタリアの巨人、フィアットは許してくれなかった。

同じ車種やタイプでもちょこちょこ仕様やデザインが変わり、一筋縄ではいかないというイタ車の「教訓」を、あらためて思いっきり体感。
あわせて、アバルトプントみたいに、情報が極端に少ない希少車の悲哀も感じた一日でした。

というオチでした。ちゃんちゃん。

※このコイル、上記のほかにフィアット、グランデプントやチンクのT-Jetエンジン(ということは初期のアルファMitoも)に装着できる。ルノーとか他のメーカー用にも順次発売されているらしいです。
※ちなみにこのコイルの推奨プラグは、純正プラグ。だけどこのプラグの品番は市販されておらず、ディーラーに注文するしかないそうです。