「バルス」って、いまの自動運転の開発に言ってやりたい(IT屋さんの自動運転が嫌いな理由)
「家電屋さんの上から目線にイラッときたので、釣られて反論してみた(笑)」
ってエントリでも書いたんですが、僕はいまの自動運転の開発状況がかなり気にくわない。ダイッキライ。
その理由をまとめてみた。
■理由その1 クルマが分かってない
「レガシーな自動車という機械を、おれっちがITのチカラでイノベーションしてやるぜぇ」っていうニオイがプンプンするんだよ、IT屋の主張には。そんな上から目線だから、クルマの動きとか、複雑怪奇で魑魅魍魎が跋扈する(画数が多いな)交通のことなんか、ちっとも分かってない。クルマなんて、アクセル踏んでハンドル曲がれば動くんだろ、くらいの意識しかない。だから昨日取り上げたモラルマシンでも、ヘンテコリンな設問しても平気。そんなヤツらに、クルマを自律的に動かせるプログラミングなんて、100万年かかってもできっこない。
■理由その2 あるのは野心だけ
ITで世の中は進化しましたよ。確かに。でもね、社会に広くイノベーションを促した成功例って、実はスティーブ・ジョブズがつくったiPhone(スマートフォン)と、ジェフ・ベゾスのAmazonくらいしかない。ほかは例えば、倉庫の在庫が大幅に減った、とか、同じ品質のモノが大量に作れるようになったとか、そんな局所局所のイノベーションでしかないわけ(それでも周囲への影響力、波及力は確かにあるけど)。
で、第2の「iPhone」をどうやって作るか、それがITの人たちの大きな関心事なっていて、その大きなテーマのひとつが「自動運転」なわけですよ。それに成功すれば、アップルがモトローラやノキアから携帯電話づくりの覇権を奪ったように、自動車づくりの主導権をトヨタやフォルクスワーゲンから奪うことができる。さらに無人の自動タクシーとか無人配送システムなど、新しいサービスを展開すればボロ儲けだ。
■理由その3 金儲けの手段としか見てない
いま、ユニークな技術を開発した会社は大企業から買収される。今年3月には、「インテル入ってる」の米Intel社が約153億ドル(約1兆7600億円!)かけて衝突防止技術を持つイスラエルの企業を買収した。1兆7千億円だよ! そこまで技術を確立するのにどれくらい資金つぎ込んだかは知らないけど、創業者はそれだけのカネを手にしたわけだ。要は、自動運転技術そのものじゃなくても、それに関する技術だったら会社ごと高値で売り抜けられる。それを狙ってこの技術開発競争に参入するスタートアップな連中もたくさんいる。あそこで砂金出てるみたいだから俺らも行って掘ろうぜ! みたいな。
つまりね、クルマへの愛がないんだよ。この件に関わってるITのヤツらみんな。
もちろん自動車メーカーとか関連企業で開発している人は、そりゃもう一生懸命なんだけど。
それ以外のIT系のヤツらは僕が知る限りよこしまなヤツらばっかだな。いい例が、冒頭リンク先の上から目線野郎。
クルマそれ自体を進化させようとか、ドライバーや乗員を助けようとか、道路交通をもっと安全快適にしたいとか、
こうした大規模なイノベーションプロジェクトが本来持つべき、まっとうなコンセプトがどこにもなにひとつ感じられない。
冒頭の上から目線くんみたいに「来たるべきイノベーション」を熱っぽく語るその裏に、次の覇権を握りたい、カネつかみたい、そんな野心が垣間見える。クルマはそのための、単なる道具。
ラピュタに入城したくて、シータを略取するムスカとおんなじだよ、いまの自動運転のITエンジニアは。
それじゃシータが可哀想だから救ってあげたい、ゴンドアの谷に戻してあげたい。かわいそうな自動運転を使っても道路から離れたら走っていけないのよ!!(なんのこっちゃw)
いまの自動運転の開発には、バルスって言ってやりたい。マジで。
※自動運転に関する、そのほかのおっさんの主張はこちら
いろんな業界の会社が、こんなふうに蜜に群がってきてる。
しかし「デトロイト・トーマツ」だとずっと思ってた、この会社(笑)
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