マツダ ロンパーと日産ホーマー、もしくは、ルフィと赤髭海賊団(の旗)。それから、小杉二郎。
「昭和」がいた。
マツダ・ロンパーと、日産ホーマー。
見るからに建設関係の作業場の一角。この会社の主が、昔から一緒に働いてきた“仲間”を見捨てることができずに、今でも手元に置いているのだろうか。左隅にはこれまた年代モノのトヨタ ライトエースも見えるけど、この2台のトラックを見てしまうと、やっぱりレンズをこちらに向けてしまう。
じっと見ていたら、日産ホーマーが漫画ワンピースのルフィに、ロンパーが同じく赤髭海賊団の旗に、それぞれ見えてきた。
ロンパーはノーズからルーフまで丸い全体のモチーフが、赤髭海賊団の旗に掲げられた骸骨に見える。ヘッドライト片目が落ちているところなんか、眼帯した海賊を連想させるし。ホーマーはまん丸目玉とその下のグリルの開き方が、ルフィがニカッとしたときの表情に似てると思う。
この時代のデザインは、こんなふうに表情豊かで、見てるだけでも楽しい。
CADとマーケティングと製造コストから導き出された今の工業デザインとはぜんぜん違う、人が手で描いた、命を持った線から生み出されたデザインだ。
ちなみに、
ロンパーについては、こちらの福山自動車時計博物館のページが詳しい。これによれば、正しい車名はロンパーではなく、D1000、ないしはD1500かもしれない。
マツダのサイトでもちょっとだけ触れている。
ホーマーはYouTubeの映像が出てきた。
あちこち、丸い。
特にロンパー(D1000/D1500かもしれないけど、判断つかないのでこう書いておきます)のデザインが、いま見ても新鮮だ。
スポーツカーにも似た丸いノーズは、1960年代に大ヒットしたマツダ3輪トラックからの引用だろうか。キュッとすぼまったノーズ、張り出したフロントフェンダーは、イギリスのオースチンあたりのスポーツカーも連想させる。しかもボンネットの開き方は、これはロータスエランとかの“作法”ではないか。
しかも、ボンネットの丸味に合わせて、フロントガラスも湾曲させ、運転席ルーフまで丸く打ち出されてる。
しかも、先の福山自動車時計博物館のページにあるサイドの画像を見ると、なんと!リアはオーバーフェンダーになってる。そのラウンドスクエアなデザインもカッコいい!!
こんなにまあるく板金して、チリ合わせするのは当時の技術では大変だったろう。手間暇かかってる。
後ろから見てみる。
ロンパーの側あおり板が、微妙にラウンドしているのが目に止まった。そのラウンドに合わせて、後あおり板の両端も切り欠かれている。ホーマーの直線的なあおり板と比べて見るとよく分かる。
これはタダモノではないな。
作った人のこだわりが随所に見られる。家に帰ってググってみたら、「小杉二郎」という工業デザイナーの名前が出てきた。
フリーのデザイナーながら、クルマやバイク、ミシンなど電化製品までデザインした、日本の工業デザイン黎明期、レジェンドの一人らしい。知らなかった。
特にマツダとのつながりが深く、マツダの歴代三輪トラックからこのロンパーまで、全て彼の手によるものだそう。どうりで血脈を感じるわけだ。
さらに、マツダR360クーペも彼のデザイン。
いや、いま見てもカッコいい。すごいよ。
小杉二郎のデザインに関して、マツダ本体のサイトでもそれほど紹介がない。
このページを読むと、筆者の好みのおかげで、彼の凄さが伝わってくる。
「変態が認める三輪トラックデザイナーは天才だぜ!!」
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このトラックも懐かしい!
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