雨の峠道。フォグランプ、「わ」ナンバー。
- 2018.09.15
- クルマ
気が滅入ったので、山に向かう。高度を上げれば、気分も軽くなると思ったのだ。
しかし雨はますます強くなる。オートワイパーが雨粒を払うそばから、雨粒がフロントガラスにばらまかれる。
フロントとリアのフォグライトを点灯させる。雨の山に登る決意表明だ。
観光道路として開発された新道。けれど、平日の夕方、しかも強い雨とあって、クルマは多くない。
物流のトラックが行く手をさえぎるが、プロのドライバーは登坂車線の意味を理解していて的確にこれを利用してくれる。僕はムダにイラつくこともなくトラックをやり過ごし、標高を上げる。
いくつめかのインターチェンジで分岐して、先日走った道を目指す。現役のレーシングドライバーのとなりでクルマの曲げ方を教わった、あのコーナーだ。
あのときのレクチャーを思い出しながら、ブレーキを踏み、アクセルを開け、ハンドルを操作する。
ウェットコンディションなので、あのときほどのスピードは望めない。7割程度のスピードで雨の路面をスラームする。
前回は装着していなかったハイグリップタイヤのせいか、フロント・ロワブレースのせいか、ウェットでも路面によく喰いついている。あのときはドライでもトラクションコントロールが動作して、視界の隅でオレンジの作動ランプがピカピカしていたのに、今回は光らない。一度だけ少しばかりアクセルを開けてみたけれど、視界の隅で光るものはなかった。
この週末のサーキット走行がますます楽しみになってきた。
雨は止まないが、少しばかり希望が持てたので、そこから山を下りることにした。
降りるのは旧道を選んだ。正月の駅伝レースのルート。テレビ中継で見なれた沿道。しばらくぶりに走ってみると、道が拡幅されていたり、ホテルが廃業していたり、けっこう変わっていた。
温泉旅館があるからなのか、一般車両が多い。曲がりくねった旧道をたどたどしく走る「わ」ナンバーや若葉マークのクルマのあとを、フォグランプを付けたままとぼとぼと走る。日が暮れてきて、さらに雨。悪コンディションもあって、罰ゲームのようにペースが遅い。こんなことなら、下りも新道をチョイスすべきだったか。
登山電車との踏切を過ぎ、温泉街に入る手前のT字路、赤の点滅信号でピタリと動かなくなった。しばらくして鳴らされたクラクションに重い腰を上げるように、車列が動き出した。僕の前、4ナンバーのキャラバンがT字路を左に曲がり、さらにその前のセレナは右に曲がっていった。僕はセレナの後に付く。「わ」ナンバーがすぐに目に入った。
セレナのドライバーが赤点滅の信号の意味を理解せず、立ち往生していたのだ。すぐ後ろのキャラバンに追い立てられて、渋々と動き出した。きっと、そんなところだ。運転について経験も知識もたいしてないペーパードライバーなのだろう。案の定、つづら折りのセクションになったら、ほとんど止まりそうになりながらコーナーを1つずつたぐっていく。コーナーのエイペックスで一旦停止して曲率をあらためて確認するような、そんな運転をしている。
あっという間に僕の後ろに後続車がたまってくる。気の利いたドライバーだったら、登りのときのプロのように、無理せず道を譲ってくれる。でもこいつは、きっと無理だろう。きっとバックミラーなんて見てない。
つづら折りではあるけれど、道幅が広く、後続車をやり過ごせるようなポイントがいくつかあったが、セレナはヨタヨタとした走りをやめることなく道をたぐる。結果、道はどんどん細くなり、後続車もどんどん増えた。
夕闇の中、雨の峠道を走るのは確かに大変だ。遅いのは経験や技量が不足している、つまりヘタなのだから仕方ない。それを認識して、まわりに迷惑をかけないように心がけることも大事だ。サーキットだったら、みんなそうしている。
必要以上にノロノロと走って他のクルマも巻き添えにするのは迷惑でしかない。
こんな空気も読めない、無分別で唯我独尊なドライバーが煽り運転の標的になるのだろうと、ふと思った。
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