ホンダはいっそのこと、日本を捨てる方がF1で勝てるんじゃないか。[ブラックワークと生産性]
ブラックワークと生産性。
ホンダがF1でこれまで3年間、大した成果があげられなかったのは、この2つが大きな原因なんじゃないか。
前社長がクルマの粗製濫造やりすぎたせいで、ホンダはブランドバリューも技術も失った。
看板モデル、フィットのリコールの嵐、軽自動車以外ぱっとしない国内販売、F1はおろか国内のスーパーGTやスーパーフォーミュラ、米国でも勝てないレース。
唯一、今年はインディ500での優勝があったが、その佐藤琢磨からはこんなコメントが聞かれている。
ホンダのマシンは遅かったからインディを狙うしかなかった、というのだ。
16年に遅いクルマは17年も遅いということになる。そうすると、ホンダのパッケージは非常に申し訳ないんだけど、シリーズチャンピオンはあまり現実的ではない。となったときに、狙うは一つ、インディ500だと
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なので、ホンダはF1の世界でディスアドバンテージを取り返すには、もう、猛烈にやるしかなったはずなのだ。
90年代、セナとマクラーレンの時代は、24時間戦い続ける体制で“開発競争”をリードし続け、黄金期を作り上げた。今回はあのときの逆で、ライバルはもはや時速300キロで先を走ってる。しかもホンダは周回遅れの状態だ。だからホンダは、時速600キロぐらいの開発スピードでライバルに追いついて、追い越さないといけなかったはずだ。
だけど、あの働き方をいまの時代にやっていたら、ブラックワーク認定だ。だから以前のような極端な開発体制は敷けなかったに違いない。
レースが終わったら家に帰って休息を取ってる、みたいなエンジニアのインタビューをテレビのドキュメントで見て、いまの時代はそうだよね、と納得した記憶がある。
ブラックワークはできない。じゃ、どうするか。
それはもう、生産性を上げるしかない。短い時間でより良い結果を出す。
だけどホンダにはそれができていたのか。たぶん、なかったんじゃないか。
メルセデスだってフェラーリだって、現代の“グローバル企業”なんだからホンダとたいして変わらない労働環境なはずだ。
けれども彼らは過去参戦してきた経験値 + 合理的な開発のプロセス=優れた生産性があるからこそ、「進化」が続けられたんじゃないか。勝つことができているんじゃないか。
同じような開発体制=優れた生産性を生む環境が、ホンダにあったんだろうか。
F1を休んでいた間の技術的空白を埋めるためにも、開発プロセスを徹底的に合理化し、スピードアップなければ、つまり生産性を高めなければF1の速さに追いつくことはできなかったはずだ。
たぶん、そういう体制もなかったんだろうな、と先日の最終戦アブダビGPを見ながら、アロンソが映るたびに「これでホンダ最終戦」とかアナウンサーが言ったりしてるのを聞きながら、何となく思っていた。だって、追いつけなかったじゃん、結局。3年かけても、アロンソの腕をもってしても。
つい最近、その体制の変更をホンダは発表したけれど。それで少しは良くなるのか。
働き方で仕事が進まない、生産性で勝てない。
それって、日本企業の多くが抱えている問題じゃん。
ということは、ホンダは日本企業である限りF1で勝てない、ということにならないか。
いっそのこと、純血主義とかこだわってないで日本を出て、ヘッドにロス・ブラウンみたいな人を連れてきたりして、脱・日本、真の意味のグローバル化を進めた方がいいんじゃないか。
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ホンダはF1を続ける限りこの呪縛から逃れられない。逃れるには、あのとき以上に強くなるしかないんだよ。だから頑張れ、ホンダ!
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