みんなでゴールを目指すから楽しい。走ると絶対ハマる、ETCC4時間耐久

みんなでゴールを目指すから楽しい。走ると絶対ハマる、ETCC4時間耐久

クルマを運転するって、きわめて個人的な行為だ

クルマに乗って、アクセル踏んだり、ブレーキかけたり、ハンドル回したり。その結果、そのドライバーが行きたいと思った場所に到着する。
電車やバスのように決められた時間(ダイヤ)なんてない。いつだって走り始めていいし、休みたかったらいつだって止まってもいい。同乗者がいれば、ちょっと話は変わるけど。

で、ふだん走ってる道じゃなくて、サーキットという特殊な場所を走ったら、そこでは「タイム」という基準が出てくる。乗るクルマの性能とか、ドライバーの技量で、タイムは変わってくる。
けど、そのタイムはすべてドライバー個人に帰属するものであって、別にどんなに良いタイムを出そうがそのドライバーにしか意味というか価値は無い(良いタイムを出せば、みんな祝福してくれるけどね)。

いってみれば、自動車とそのドライバーって、どこに行ってもどこを走っても、まったく孤立した「個」の存在でしかない。
なんてったって分で、「自動車」なので。あ、バイクも同じことだな。

そんな状況がちょっと、いやいや、ガラッと変わるのが、耐久レースだ!
「個」でしかなかった1台と1人が、チームという集合体になる。その結果、バラバラだった「個」がいろいろつながって、有機的な反応というか、何かが芽生えてくる。

そこに、ETCC 4時間耐久レースの醍醐味があるんだよ。
今回2回目だけど、出てみて、やっぱりそう思った。確信した。
耐久レースは、みんなでゴールを目指して走るから楽しいんだ!

 



 

みんなで走ると、“何か”が生まれる

2年前にも出た、ETCC4時間耐久。あのときは4台/4人でチームを組んで、それぞれ約1時間の走行パートを受け持って、4時間先のゴールを目指した。
いつものサーキットランだと、自分のタイムは自分のものでしかないし、それ以外何の意味も価値も持たない。いつだってピットに戻ってきていい。
でも耐久は違う。責任が生まれる。次のドライバーにバトンタッチできるよう、ちゃんとピットに戻ってくる責任。できうるなら成績のために、タイムをなるべく揃える責任。

その責任が、新鮮だった。駅伝でタスキを繋ぐ、あの感じ。陸上のリレーとか、最近だとスピードスケートのパシュートとか、団体競技が好きな日本人の血が騒いだ(笑)。
自分の走りが、みんなのためになる。いつもは自分のためだけに走ってるけど。
あの気分が、1時間連続走行するモチベーションになっていた。
走り終わってみて、なんて楽しいんだろうって思った。

他にも、ピットに戻ってきたチームメイトのゼッケンを貼り替えたり、ポンダーを載せ替えたり(ゼッケンとポンダーをピットで次に走るクルマにリレーするのがルール)するのを手伝って、次のドライバーを送り出したり。で、無事に送り出せたら、そのクルマの後ろ姿を見ながらホッとしたり。
ピットで各車のタイム表示と中継画像のモニタを見ながら、自分のチームのクルマが通過したのを確認したり、そのタイムを見たり。

今回、あのときのチームメイトも参加してた。僕と同じで2年ぶりの参加。あのとき以来の再会なのに、「お、久しぶり!」なんて最初から打ち解け合った感じ。なんというか、“戦友”と会ったみたい。同じ「4時間」を共有した仲間は、ちょっと違う感じ。

「みんなでゴールを目指すのが耐久の醍醐味」って、ル・マンとかニュルブルクリンク24時間の中継とかで、プロが言うけど、その「醍醐味」の何分のイチ、いや数百分のイチくらいは味わえた。きっと。

で、今年。2回目の4時間耐久

今年のチームも4人だったけど、うち2名はほぼ初対面。「どうも」「よろしく」なんて、早朝の集合場所でぎこちない挨拶で始まった。

今回、僕以外はアバルト チンクエチェント。燃料タンクが小さいので、富士スピードウェイを全開で走ると1時間持たない。なので、30分×2回のローテーション。必然的に、ピットストップの回数が多くなる。
だったら僕は1時間連続で走るよ。ピットストップ、1回でも少ない方が良いし、僕のアバルト プントはタンク容量が大きいし。前回も1時間走ったし。ということで、連続走行することにした。


レースは順調。予定通りピットストップを重ねて、僕の番に。
この日来ていたプロのドライバーのアドバイスとか、別チームで出場のベテランのアドバイスのおかげもあって、前回よりも良いタイムを揃えることができた。ベストも更新できたし。僕のスティントでちょっぴりだけど、順位を上げることもできた。よかった!
そうして、次の最終ランナーに無事、ゼッケンとポンダーをリレーできた。
僕のミッション完了! ホッとして、疲れがどっと出てきた(笑)

あっという間の4時間、そして待望の、感動の、ゴール!
今年も無事にゴールできて、みんな大喜び。無事ゴールしたドライバーをチーム全員でお出迎え。

朝いちばんのぎこちない雰囲気はどこへやら。ずっと前からの仲間のようなみんなの笑顔、笑顔、笑顔、笑顔。
そしてみんな「耐久って楽しい」「はまりそう」って口々に。

そうでしょ、楽しいでしょ、走るとハマる。だって楽しいんだもん(笑)
4時間耐久、来年も走りたいぞ!