ますます肉食エンジンになった[ 軽量フライホイール装着後の感想とかアルファロメオへの思いとか ]
「なんだ、そういうことか!」と、軽量フライホイール装着後、はじめてアクセルを踏んだ瞬間わかった。
僕が欲しかったのは、105系アルファロメオの、あのエンジンフィールだったわけ。
90年代以降のフィアットが作ったアルファロメオじゃなく、
それより以前、アルファロメオ自身が作ったあのエンジンフィールをウチのアバルト プントに追い求めてただけじゃん。
スロットルスペーサーを入れたのも、
イグニッションコイルを替えたのも、
すべて、あのフィールを追い求めてのことだった。
あのフィールとは、打てば響くレスポンス、陽気で冗舌な回転フィール、強さと包容力に満ちたパワー感。
ドライバーとエンジンとの息の合ったアドリブ、エンタテインメントなとき。
軽量フライホイールを入れたのも、そんなフィールを求めてのことだし、その延長線上だったわけ。
で、はたして僕の望みは叶えられたのか。
答えはノー。
だって、エンジンの素性が違う。
アルファロメオは、そもそも今のフェラーリの立ち位置にいた会社。
レースのついでに市販車を作って売ってた。だからそのクルマは性能もデザインも選りすぐりの最高級。手間ひまかけた工芸品、贅沢品だ。
僕が乗ってた105系のエンジンは(戦後落ちぶれてきてたとはいえ)そういう血筋が宿る最後の逸品。
上質なコートは手触りや着たときの感触が良いように、そのエンジンは回転フィールひとつとっても違っていた。
対してアバルト、その“親”であるフィアットは、良くも悪くも大衆車、実用車メーカー。そのエンジンはまさに正しい工業製品。
回せば回る、その分パワーが出てくる。工業製品として、“きちんとしてる”。
でも値段以上、設計以上の上質さやフィールを求めるのは、ユニクロのウールコートにカシミヤの感触を求めるようなもの。
そのエンジンにアバルト・マジック(正体はほとんどECUとかの“電気仕掛け”だけど)をまぶしたものが、うちのアバルト プントに積まれているわけだ。
いわば、貴族と平民。
平民はいくら背伸びしても、せいぜい「成り上がり」どまり、貴族には絶対なれない。
そのかわり、これまでのような貴族に未来はない。フィアットに飲み込まれたアルファロメオのように。
ちょっと話が大げさになっちゃったけど、何が言いたかったというと、アバルト=フィアットのエンジンをいくらいじっても、実用車の出自は隠せない。
その実直な回り方、計算された必要最小限の部材で回ってる感じ、ぜんぜんグラマラスじゃないフィール(言っちゃった、、、)は、いくら後付けパーツを盛っても消えない。フィアットのエンジンは、往年のアルファロメオのそれには、絶対なれない。それをハッキリと感じた(今ごろかよ)。
でもね。僕は好きだよ、このアバルトのエンジン。
アルファロメオにはない攻撃性、過激さがある(これもECUの演出なんだけど)。アクセル踏むと「肉食」という言葉が思い浮かぶ。
もっというと、オーストリアからイタリアに渡って、いっちょやったろう! って頑張った、カルロ・アバルトの野心、熱い思いを感じる。
これこそ、貴族には出せない味わい。平民出身の成り上がりの気概、根性だよ。
今回の軽量フライホイールのおかげで、そんなガツガツした感じがさらに強くなった。
ジャラジャラとかシャラシャラとか、軽量フライホイールならではの音を立てながらどんどん回転を上げていく。これはこれで好き。
平民の僕には、やっぱりカルロのエンジンのほうが合うのかも。
肉食エンジンはいいぞ!
※105系アルファロメオとアバルト プントの「乗った感」の違いはここにも書いた
- 前の記事
曲がる曲がる曲がる[ ブリヂストン ポテンザ RE-71RSで走ってみた記 ] 2020.10.20
- 次の記事
ぜんぶで17台! Fiat Festa 2020に集まったプントたち 2020.10.28