EVじゃムリ、と思う理由をとりあえず6つほど [ クルマの動力、電気だけに頼るのは問題ありすぎ。そろそろ現実を見ようぜ ]

EVじゃムリ、と思う理由をとりあえず6つほど [ クルマの動力、電気だけに頼るのは問題ありすぎ。そろそろ現実を見ようぜ ]

リッター3キロだと!

レクサスLS ハイブリッドのバッテリーがトラブルになり、エンジンパワーだけで走ったときの燃費。ハイブリッドはバッテリーが命。モーターからの動力が切れた途端、アメ車以上にガソリンたれ流すクルマになっちゃった。
ちなみにうちのプントでサーキット走ったときの瞬間燃費計が2〜3キロぐらい(関係ないかw)。

修理はバッテリー交換しかなく、その費用見積りが約45万。この値段、オーナーが懇意の工場の「常連さんご愛顧プライス」なので、レクサスのディーラーに持っていったら、メッチャ高くいわれそう。「この値段だったら乗り換えちゃおうか」って思うくらいの見積りを出されるんじゃないか。

そのLSの走行は約12万キロ。ガソリンエンジンなら定期的なメンテナンスさえしてればもっと乗れるぞ。
たったそれだけでこんな大げさなトラブルになるなんて、電気モーターの技術もまだまだ発展途上だよ。こんなんじゃクルマが全部EV化されたら、ユーザーとしてはぜんぜん不安で乗り換えるわけいかないじゃん。ぜんぜん実用的じゃない。

EV(=クルマの電動化)なんてまだまだムリだよな、って思ってたところに、知り合いのLSハイブリッドの悲劇を聞いて、ますますその思いは強くなったわけ。
それだけじゃなく、昨今の情勢もEVに逆風が吹いてる。これまで何となく「EVだけじゃ地球は幸せになれないよな」って感じてて、この機会にそれについてちょっと調べてみた。

理由1 資源高:バッテリー原材料の値段がめっちゃ上がってる

レアメタルの国際相場
https://newswitch.jp/p/32012 より

ニッケル、リチウム、コバルトといったリチウムイオンバッテリーを作る上で不可欠の素材価格が上がり続けてる。だからバッテリー自体の値段も上がってる。「量産効果でバッテリー価格は下がる」とEV推進派がいってたけど、ちっともそうならないどころか、上がってるぞ。責任者出てこーい。
EV急増で供給追いつかず…「電池向け金属」高騰、中国リチウム5倍高
リチウム価格高騰「EV1台300万円」時代に暗雲。大衆化のカギ握る車載電池「3つの選択肢」
年金暮らしのじいじ・ばあばとか、シングルマザーとか、EVなんか絶対買えないよな。

特にコバルト採掘の半分以上を占めるコンゴは、日本の外務省から「渡航中止」を勧告されるほど危ないレベル。こんな状況でバッテリーじゃんじゃん作れるのか?
xEVに必須のレアメタル「コバルト」の安定供給にオールジャパンで挑戦
外務省 海外安全ホームページ コンゴ共和国の危険情報 レベル3:渡航は止めてください

なぜバッテリーの価格は下がらないか。ここに書いてある。
日本のEVの未来を考える(前編)
これの2ページめ「なぜ大量生産だけではコストが下がらないのか」という章ですね。

理由2 リサイクル問題:バッテリーは再利用できない

バッテリー作るのにコストがかかるなら、リサイクル、リユースしたらいいんじゃ? ハイブリッドがこれだけ普及した日本なら、廃棄バッテリーたくさんありそうだからできるんじゃね? って素人考えで思うんだけど、これがまったくといっていいほど進んでない。EV化したら、バッテリーのゴミがどんどんたまってくだけだよ。

自動車リサイクルシステムは進んでるのに、、、
(サイト、SSL化しろよ、どうでもいいけど)

EVの使用済みバッテリー問題解決へ 「バッテリーリユース」最前線
このタイトルを読むと、リユースが進んでいるように思うけど、実はこれ、ニッサン・リーフ専用のリサイクル施設でしかない。
つまり、俺が知る限り、リーフ以外のリチウムイオンバッテリーはゴミにしかなってないわけで。ちっともエコじゃないじゃんか!

ゴミといえば、ソーラー発電用の太陽光パネルもこれからどんどんゴミ化する。これもエコじゃない。
2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題

理由3 進まない再エネ転換:このままでは原発が増えるぞ

EV化が進むと、原発が必要になる。火力発電などCO2排出する発電所からの電力はこれから使えないし、だからといって太陽光とかの再生可能エネルギーは発電量が不安定で、アテにならない。それ以外にCO2を出さず、安定して発電できる方式といったら、人類には原発しかない。
原発 再稼働追加、次世代原子炉 検討
EVと電気と、原子力発電。ちょっと気分悪かったので発作的に書いた。
一方でわれわれ日本人は、例の福島の一件で原発に懲りてる。それでもいいならいいけど。

再生可能エネルギーへの転換は各国で進めようとしてるが、問題が山積み。
世界で存在感増す再生可能エネルギー
国内外の再生可能エネルギーの現状と 今年度の調達価格等算定委員会の論点案

ノルウェーは国内電力の約95%が再生可能エネルギーと、世界で最も利用が進んでいるが、これは水力発電によるもの。
低炭素社会の実現に向けて世界をリードするノルウェー

理由4 国際緊張:最悪、日本でEVが作れなくなる

ウクライナ戦争で燃える自動車
ロシアによるウクライナ侵略戦争で、ドイツなどEU諸国はロシア産天然ガス供給が滞り、電気代などのエネルギーコストが跳ね上がって、結果、物価がめちゃめちゃ上がってる。こんなんでEV用電力の安定供給なんかできるのか。
ロシアの天然ガスからの遮断が欧州経済に与える影響
ウクライナ情勢は欧州自動車部品部門にも多方面で影響及ぶ

日本だと、中国との関係がキナ臭くなってきた。前例もある。2010年に中国と尖閣諸島でトラブったとき、中国からレアアース、レアメタルの供給を絶たれ、日本でケータイ用とかのバッテリーが作れなくなった!って問題が起きた。
レアメタル供給の本質的問題 ▼環境コスト、中国優位 東京大学生産技術研究所教授 岡部 徹氏
緊張で迎える日中国交正常化50周年、高まる中国事業リスク

特にEVは、リチウムの精製を中国に依存しているのがヤバい。最悪、尖閣のときと同様に、バッテリーが中国から来なくなるから、日本でEVが作れない、ということになるかも。
国際エネルギー機関(IEA)も中国依存のリスクをあげている。
EV急増で供給追いつかず…「電池向け金属」高騰、中国リチウム5倍高
上記リンク先より引用:国際エネルギー機関(IEA)は21年発行のリポートで、脱炭素に必要な重要鉱物の精製品の生産が中国に集まるリスクに警鐘を鳴らした。

ちなみに太陽光パネルは中国企業に首根っこを押さえられてる。東京都は小池都知事の発案で全住宅に太陽光パネルの設置を進めるらしいが、大丈夫なのか。
太陽光パネルメーカーの世界シェアランキングTOP8!
5位にカナダ企業、8位に米国企業がランクインしてるだけで、それ以外は中国・韓国のメーカー。

理由5 無理ゲー:全車EV化は欧州メーカーの絵空事

ブラジルとかアフリカ諸国とか、そもそも電気の供給網自体が整ってない国や地域が南半球を中心にまだまだたくさんある。EVなんて夢のまた夢でしかない。オーブンもないのにケーキ焼きましょう、って言ってるようなもんだ。
フォルクスワーゲンは、南米はバイオ燃料でCO2排出削減を進めると発表している。
VW、南米でのカーボンニュートラル戦略はバイオ燃料で
全ラインアップEV化!とか言ってるアウディも、「これは欧州市場だけね」ってこっそり但し書きを付けてる。

トヨタは、「南半球でのEV展開はムリ」ってとっくの昔から豊田章男社長が言ってる。
マスコミなどで「全部EVになるんだー」って勢いで報道されてるけど、あれはメーカーからのリリースを写し書きしただけの作文でしかないから。

理由6 EV化よりまず、発電や工場からなんじゃね?

そもそも、地球温暖化を止めるために、2050年までにCO2排出をゼロにしましょう!という世界的合意があって、EV化はそのための施策のひとつでしかない。
ガソリンエンジン車は走行時にCO2を出してるから、それをヤリ玉に挙げられたわけだ。

それに、世界の人々は、自動車に乗る以外にもいろいろ活動をしているわけで、じゃ、どういった活動が一番CO2出してるの?といったら、発電、次いで工場などの産業なわけ。両者で全体の約65%。クルマなど運輸部門は3番手で17%。
日本の部門別二酸化炭素排出量(2020年度)
なので、世界で脱炭素を目指すなら、発電や工場のエネルギーを再生可能エネルギー100%にするのが手始めだろう。それが最も効果あるはず。だけど、コストとか雇用とか、オトナの事情でなかなか進まないだけだ。

日本の排出削減目標
2030年46%減達成には再エネ比率37%が必要 まだ400億kWhの再エネが足りない 経産省
国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案
リンク先PDF4枚目「世界の動向:再生可能エネルギーの発電比率」で、日本の再エネ率は16.9%(2020年)

再生可能エネルギーの発電比率
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/061_01_00.pdf より

だからといってEV化しなくていい、とは思ってない。CO2排出削減は必要で、環境や資源や人々の暮らしと調和させながら、できることからやるべきだとは思う。