自動車産業は、死んだかもしれない vol.5:EVの未来さえ描けない!?
今年のモーターショーも終わりましたが、気になったのがこれ。ホンダのEVプロポーザル。
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ちっとも新しくない、もはや見なれたレトロフューチャーなデザイン。ホンダの名車、シビックを下敷きにしたらしいけど。
EVというかつてないパワートレインを積む割に、保守的で未来のないパッケージング。だいたい、エンジンがなくなったっていうのに、なぜボンネットが必要なのか? ここにバッテリーを全部詰め込むつもりなのか。すごいヘッドヘビーで運動性悪そう。
エンジンというデカくて重い物体の呪縛から逃れて、今までにないパッケージで、まったく新しいフォルムやディテールがデザインできるチャンスだというのに。ショーモデルだったら実現性を気にしなくていいし。でもこのデザイン。ナンジャコリャ、だ。
しかもデザインが古い。
このショーモデルを見て、すぐに前回、トヨタが出品したS-FRを思い出した。
両車のデザインテイストは、僕から見るとほぼ同じ。同じデザイン事務所が線を引いた感じがする。ないしは、同じソフトウェアを使っているような。
以前だったら、ピニンファリーナ、イタルデザイン、ベルトーネ、ガンディーニ、それぞれに持ち味があって、モデルを見れば、ああなるほどね、と思ったんだけどね。
それにこういったカロッツェリアの作品は、年を追うごとにどんどん進化したり、洗練されていってそのたびに感動したけれど。
そんなこともあまり感じられず。
フォルムの作り方、ディテールの処理のしかたが、2年前のトヨタから今年のホンダになっても、あまり進化してない。
同じ会社、同じデザイナーの作品だったから? だとしたら、まあ仕方ないかな、とは思う。一度磨いたデザインは、そんなにころころ変えられないから。
北島三郎にポップスを歌わせても、演歌になっちゃうのと同じ(笑)。
でもこれが、まったく違う会社、デザイナーによるものだったら、もう絶望的だ。
だって、もはやクルマというプロダクトでは、次の(EVの)未来は描けない、もはやギブアップ!
デザイナー不足、才能の枯渇、それによるデザインの限界。
ということを白状してるようなものだからだ。
何度も書くが、EVの登場とそれが開くモータリングの世界は、化石燃料の時代とはまったく異なるはずだ。
それをデザインというかたちに込めて、我々一般人に提案する。それがいやしくも自動車メーカーの役割なんじゃないか。
今回のモーターショーにおける、ひとつの大きなテーマだったんじゃないか。前回のショーから、もう一段進んだ提案があっても良かったんじゃないか。
それなのに、「ま、こんなもんでいいんじゃない」そんな姿勢がこのデザインにありあり(少なくともホンダは)。
本腰を入れて未来を拓こうとしたら、お金も人もリソースをつぎ込んで何とかしようとするはずなのに。自動運転とかで手一杯なのか。
自動車メーカーは、本気で未来(=EVの時代)を拓こうとしているのか。
マツダは、こんなに一生懸命に「ガソリンエンジンの未来」を描こうとしているのに。
(2017モーターショー「魁 CONCEPT」)
同じようなコトをこちら↓にも書いてます。
やっちゃえEV、自動運転。どんどん壊せ! そうしないと未来がこないよ
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ジウジアーロの“右腕”は日本人だったことがよく知られています。
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