「思い通り」って、けっこうタイヘン。[ 代車生活でのひとりごと ]

「思い通り」って、けっこうタイヘン。[ 代車生活でのひとりごと ]

数台の日本車、この中に僕の代車がある

わけあって、代車生活中です。
代車は、この写真の中にあります。意気込んで紹介するほどのことはない、フツーの日本車でございます。

僕はとりたてて金持ちでもないので、アバルト プント一台で生活しています。
プントのほかに、北欧製ワゴンを所有してたりとか、エンジンを車体真ん中に載せたイギリス製スポーツカーとか、ラリーで名を馳せた4WDのイタ車とかも持ってるわけではありません。

なので、アバルト プント以外のクルマに乗る機会はあまりなく、今回みたいなことがあると、ほかのクルマにあってプントにないところ、良いところも悪いところもいろいろ気づいて、それはそれでけっこう新鮮。

今回はプントの良さに改めて気づかされたな。
何といっても、クルマの基本がしっかりしてる、と思った。ウチのは。

ハンドルを切るでしょ、そうすると、アウト側のタイヤがグッと踏ん張って、トラクションが上がって向きを変えていく。その感触がハンドルとかシートから伝わってくる。
フツーのことなんだけど、それがちゃんとできてる。それが、今回、別のクルマに乗ったおかげで実感できた。

なので、安心してハンドルを切ることができる。
これ以上やったらヤバそうだな、という境界線も、なんとなく分かる。
クルマとの信頼関係ができるから、ハンドルをエイヤッと回すこともできるわけ。

それが今回の代車だと、妙に味付けされてそればっかりが前面に押し出されてる。
ハンドル切った瞬間にロール始めたり、旋回というより、横っ飛びするような感じで向きを変えたり。
すべては「軽快感」の演出なんだろうけど、ちょっとやり過ぎな感じ。
なので、このクルマの素性がよく分からない。どうすれば気持ちよく向きを変えることができるか、とか、どこら辺が限界なのか、とか。

エンジンにしてもそう。
エンジンの仕事はチカラを出すことだけど、プントの場合、それがアクセルの踏み加減で自分の思い通りにコントロールできる。
ある回転数から勝手に吹けてしまうようなことはないんだな。今回の代車みたいに。
街中でゆるゆる走ってるとき、渋滞のとき、峠でカッ飛んでるとき、プントのMultiAirはどんなときもアクセルの操作で欲しいパワーを駆動輪に伝えることができる。

まさに、思い通りの運転ができる。
それって、クルマの基本でしょ。

ただ、「思い通り」っていっても僕の思い通りと、あなたの思い通りは、思い通りがきっと違う。
僕の思い通りだって、元気なときと疲れているとき、街中とサーキットでもかなり違う。
誰でも、どんなシチュエーションであってもハンドリングもエンジンも「思い通り」に反応するように作り込むって、かなり大変だよな。

それって、基本的な骨格というか、コンセプトというか、かなり骨太なところからクルマづくりを始めないとできないんじゃないか。ノウハウとかもかなりいりそう。

だったらこの代車のように、誰にでもどんなときも、あらかじめ決められた反応を返すように作り込んじゃった方が、よっぽどラクで手っ取り早いよな。僕だったらそうしちゃうよな、などとも。

たかが代車、されど代車。いろんなことを考えさせてくれたのでした。