ホントは、グランデの方が欲しかったんだけどな。
フィアットは小型車の宝庫だ。
昔々のトポリーノ、チンクエチェントから、その後の127、80年代のウーノやパンダ、そしてプント。小型車の国のメーカーらしく、いつも時代を象徴するような小型車を連綿と生産してきた。
2005年、フランクフルトモーターショーでデビューしたのが、グランデプントだ。
前モデルの「プント」を名乗るけど、「グランデ」が付いて全然ベツモノ。
ぱっと見た感じは、マセラティか!?と思うような、ジウジアーロ・デザインによるスポーツカー・ルックのフロントノーズが印象的。フロントまわりの立派なデザインは、まさに「グランデ(大きい)」そのものだ。
それに対して、リアのデザインは素っ気ないほどシンプル。リアウインドウ脇に取り付けられたコンビネーションランプは前モデル「プント」からの継承だそうで。イタ車って、あんまりそんな“あきんどっぽい”ことは言わないんだけど、これも時代の流れかな。
フロントとリアのデザイン基調が丸っこいので、曲線基調のデザインと思ったら、大間違い。
ノーズから、リアのコンビネーションランプの下端にかけて、ピッとシャープなラインが一本。サイドビューをキュッと引き締め、ウェッジシェイプのイメージを形づくっている。
フロントビューも素敵だけど、斜めリアからの眺めの方が、実は好き。シュッと研がれたようなウェッジシェイプ。実際は車高は高いんだけど、それを感じさせない、低く構えたようなスタイリングに仕上がっていると思う。
コンサバでカッコイイ。こういう仕事をさせたら、やっぱりジウジアーロは上手だなぁ。
このグランデプントを見たときから、けっこう気になっていたわけです。
そして2007年、アバルトの復活、そして第一弾としてこのグランデプントをベースに出してきたときはもう、ちょっと興奮状態でしたね。
カッコ良すぎる!!
例のウェッジシェイプが、ホイールの大径化とかストライプとかでさらに強調されてさらにカッコ良くなってるし。
3ドアになったおかげで、ウインドウグラフィックがさらにシンプルになって、ウェッジシェイプをさらに強調することにもつながってる。
リアからのぞいてるデュアルのテールパイプも、なんだかクラシカルで好み。
カーグラとかの雑誌を読んでも、ほぼ高評価。
実は、以前の素のプントとかウーノにも「アバルト」を名乗るモデルはあったのだけど、ちょっと大きめのエンジンを入れたり、あえてマニュアルをつけたりしただけの、いわばコスメティーク・チューン。
なので、グランデプントも同じじゃないの、という予想を良い意味で裏切って、エンジンも足回りも、速く走るための「アバルト・チューン」だと。
ちなみに、アバルトは昔の500のチューンアップだけでなく、フィアット傘下に入ってからはフィアットやランチアのラリーカー、アルファのDTMやツーリングカー・レースのマシンなどを開発する、生粋の“レース屋”だったわけ。
なので、「アバルト」の名前が付くって、ホントは特別なんですよ。その辺の街乗りのクルマが、「本気モード」のクルマに生まれ変わる。だからみんな注目するし、期待する。
さらにさらに、伝統的な「木箱」も用意されたりして、オジサンのハートをわしづかみ。
「木箱」とはアバルトのチューンアップパーツが納められた箱のこと。昔々、アバルトはチューンアップだけでなく、自分でボルトオンできるキットを木箱に詰めて販売していたんだけど、その再現ですね。
いまはディーラーで装着してしまうので、ホントいうと別に木箱なんていらない。演出といえばそうなんだけど、にくいよなぁ、欲しくなるよなぁ(笑)
このときからマジで素直に「欲しい」と思ったんだけど、まだまだ、子育て中でそんな余裕も甲斐性もなく。雑誌とかを眺めてるだけの日が続いたわけなんだけど。
で、結局「グランデ」は買えなくて、単なる「プント」のアバルトになったわけなんだけど、そのあたりは次の機会に。
※プントの一連のモデルと木箱の画像は、Wikipediaより
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