ピケとラウダ、2人のいい関係が分かる4枚の写真。

ラウダパイセンの影で


これはたぶん、ブラバム・アルファでニキ・ラウダがNO.1ドライバーとして君臨し、ネルソン・ピケがド新人のNO.2としてデビューした頃、1978年くらいじゃないだろうか。
大先輩のチャンピオン、ラウダ。いま風に言うと「ラウダパイセン(笑)」。その影で、緊張してキョドってるように見えるピケが初々しい。

 



 

大先輩に、少し近づいたか


それから少し経って、ピケの髪も伸びた。2人は腰掛けて談笑している。ピケはラウダと少し打ち解けたみたいだけど、その間はまだ微妙に空いているし、笑顔も少し硬い気がする。ピケにとってラウダはまだまだ畏れ多い大先輩で近づきがたい、といった空気が写真が感じられる。
ラウダは赤いレーシングスーツを着ているけれど、胸やキャップのロゴがブラバムのメインスポンサーだったParmalatなので、同チーム在籍中の終わりの方、1979年くらいか。

肩を並べて


大先輩が後輩の肩を抱いて、2人の関係がグッと縮まった感じ。ぱっと見て分かるように、ずいぶん時間が経った。でも、運動部の3年生と1年生が肩を組んで写真を撮っているような、そんな青春の1ページのような感じがしなくもない。
ラウダがジャガーF1チームのシャツを着ていることから、彼がこのチームのマネージャーを務めていた2002年に撮られた写真だろう。とすると、このときピケは50歳、ラウダ53歳。ちなみに現役引退はピケ1991年、ラウダは1985年だった。

親しみと晴れがましさと


2人とも顔にしわが深く刻まれるようになった。ピケにはもはや遠慮しているような素振りは見られない。尊敬する大先輩に会えて、そして一緒の写真に収まることができて晴れがましい、そんな表情を見せている。
ラウダは、その背中にそっと手を添えて、可愛い後輩を引き立てるような仕草を見せている。優しい顔だ。

それでもリスペクトは変わらず


さらに時代を経て、この写真は2015年にオーストリアで撮られたもの。
とすると、ピケ63歳、ラウダは66歳か。もう2人ともすっかり“好好爺”といった風情。
それでも、ラウダの傍らで彼を立てるように半歩下がるようにして話しかけているピケの姿を見ると、大先輩へのリスペクトをいまでも失っていないように見える。「自由人」と呼ばれ、奔放な性格や暮らしぶりが有名なピケも、あんがい真面目で律儀なのでは、と思わせる一枚だ。
そんなピケのリスペクトをどっしりとした姿勢で受け止めるラウダの姿には、先輩としての風格を感じる。

現役の頃は先輩・後輩として距離のあった両者の間柄が、時間が経つにつれて氷河がとけるように馴染んできて、そしていまではすっかり打ち解け合っている。よき先輩と後輩の間柄、親しみとリスペクトのこもった間柄が、もう半世紀近くも続いていることがこの写真から見て取れた気がした。

「生きていてこそ、人生だ。」と、僕は以前、4枚目の写真を見てエントリーを書いた。
やっぱり、そうだよな。

※今回の画像はすべて、ここからお借りしています。

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この本、昔持っていたんだけど、どっか行っちゃったらしい。セナ、プロスト、ピケ、マンセル。良い時代だった。