チンクは人気あるのに、ビートルはなぜ生産中止になったのか?[ クルマのフォルムについて ]
ビートルが去年限りで生産中止になりました。
同じように、人気あった先代からのリバイバルなのに、
同じように、丸っこいクルマなのに、
フィアットのチンクは人気なのに、
フォルクスワーゲンのビートルは盛り上がらなかったのか。
プラットフォームが古かったからとか、
そういう事情はココに書いてあるので置いとくとして。
僕は単に、デカすぎで、かわいくなかったから、と思ってる。
実物を見るとビートルって、けっこうデカい。
最初、写真で見たときはカワイイかな、と思ったけど、最初見たときは実物のデカさにちょっとビックリした。
デカいと、かわいげがなくなるのは、犬とか猫とかも同じ。
あのデカさじゃ「愛玩車」としては買えない(飼えない)よなー。
デカいくせに、へんに丸くしたフォルム、しかも2ドアなので人も荷物も積めない=実用性もあんまりないし。
要は、中途半端。
その点、チンクは小さくて実際に見た目にもカワイイ。
最初から小さいから、積載性とか実用的なことは二の次に考えられるし。
あのサイズからして「愛玩車」だよな。
それと。
あとプロポーションも良くなかった。
初代のRRから無理やりFFに変えたこともあって、フォルムが変わった。
昔のデザインはエンジンがあるリアに重心があって、尻下がりに見えてたけど、
エンジンが前になったことで、デザインの重心が前に移り、前下がりのフォルムになった。
こんな感じで。
そのせいで、「ビートルらしさ」がぱっと見たとき、あまり感じられなかったんだよ。
いかに「らしく」見せるか、それって、この手のリバイバル・カーにはかなり大事なことだと思うんだけど、その要素が最初から薄かったんだ。いくら車内に一輪挿しをあしらったとしても。
昔のビートルが好きだった人は、あまり興味をそそられなかったと思うよ。
ただ、冒頭に引用したカーグラの記事に、もしかしたらEVになって、そのときは後輪駆動になって戻ってくるかもしれない、って書いてある。そうなったら、昔のビートルの雰囲気が戻ってくるかな、という期待もある。
ただ、そのときはもはや昔のビートルを知ってる人なんてほとんど死に絶えてて、話題にすらなりにくい可能性もあるけど(笑)。
そういえば、こんなのもあったな、ニュービートルには(笑)
フォルムでいうとチンクも同じ。
フォルムの重心が移って、尻下がりから前下がりになっちゃった。
だから、「チンクエチェント」っぽくないよな、って出たときから僕はずっと思っていて、なので正直、興味わかなかった。それは今も同じ。
こうして新旧を並べて見ると、ルーフからリアエンドへの曲がり具合とか、前後を貫くプレスライン、それに合わせたボンネットの切れ込みなんか、ディテールのデザインはホント精巧にトレースしてるんだけどね、FFチンクは。
でもさ、いまどきのチンクは、これができないよね(笑)
で、そこを上手くやったのが、MINIだと思うんだ。
最初からFFだったのでリバイバルしてもフォルムはまったく同じ。
前に重心がある前下がり。
なので、「新しくなったMINIです」って見せられても違和感なく受け入れることができた。
それはみんなも同じだったみたいで、2016年度には日本の輸入車の“絶対王者”、ゴルフを押しのけてMINIが販売台数1位に君臨している。
最初は小さくて、かわいかったしね、MINIは。
最近のはもはや名前と図体のデカさが一致してなくて、むかしシュッとしてたアイドルが今はぶよぶよになっちゃったような、そんな感じがして残念きわまりない。
もうあの名前は返上した方がイイよ。
ビートルといえば、やっぱりこんな感じだよね
やっぱり、屋根に荷物を載せてる(笑)
これもいいなぁ
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