ミニカーにも作風とかテイストがあるんだなという発見。イタ車の表現は難しいねという感想。

いいんだけど、なーんか違うんだよなぁ。
ショーケースを見て、見て、見れば見るほど、そう思ってきた。

仕事で東京駅、丸の内地下街を歩いていたら、ミニカーがずらっと並んだ大きなショーケースを発見。
丸ビルからオアゾに向かう通路の左側、ちょっと閑散としていて寂しい感じだったけれど、あれ、こんなところにあったっけ? 意外な感じ。ショーケースは大きくて幅10メーター以上はあったかな。

顔をショーケースにくっつけるようにして熱心に見入っているオジサンが一人。僕もオジサンの仲間として、吸い寄せられるように足を向けましたよ。

ミニカーは、たぶん18分の1スケール。けっこう大きい。
フェラーリやランボルギーニ、ジャガーといった各国のスーパーカーから、F1といったレーシングカーなど、30台くらいは並んでいたかな。かなり圧巻。ミュージアムみたい。

その中で、僕が目が行くのはアルファとかアバルトといったイタ車なわけで。数は少ないけどありましたよ。こんな感じ。

カッケー! と思いながら見はじめたけど、気分がアガらないんだ。
だんだん気持ちが落ち着いてきた。冒頭に書いたみたいに。
なぜなんだろう、と思いながら見ていたら、気付いた。

全部、きれいだけど、キレイすぎるんだよ。
精緻でスキッとしていて、美しい。だけど、精密すぎてクルマがオブジェになっちゃってる。
日本語でいう「静物」「置物」なんだな。

バタンとドアを閉めて、人が乗って、ハンドル握って、アクセル開けて、
ブロロロローンッ!って走って行く、動的な感じがどうしても伝わってこないんだ。

こういう精緻な作り込みって、ドイツ車みたいにクリーンに整理整とんされたデザインやクルマの雰囲気を表現するには合ってると思うけど、イタ車には違うな。合ってないんじゃないかな。

イタ車独特の直情的というか即興的というか、そういう雑味がカオスのように混じりあった風情が感じられない。あれこそイタ車なのに! もっというと、走りへのエモーションというか情熱というか情念というか、、、
イタ車のオーラですね。ひっくるめていうと。

そんなイタ車ならではの猥雑さが、モデル職人の精緻な作り込みの技によって全部そぎ取られちゃった気がする。確かに表現するのは難しいと思うけど。

僕みたいに、モデルカーを買ったら目線を限りなく同じ高さにして、片目で見て遠近感つけて、そのモデルカーの向こうに見える走ってるシーンとか自分が運転してる様子とか、そんなことを想像しながら楽しみたい、そういうお子ちゃまな人にとっては、このモデルカーはハイブロウすぎるんだろうな。

打ち合わせの時間が迫ってきたので、その場を後にしました。

※打ち合わせ後、この会社のミニカーが近くの丸善にも展示してあるっていうから行ってみたけど、そっちはイタ車の展示はなかったですね。湾岸ミッドナイトシリーズと銘打って、悪魔のZとブラックバードが展示されていたけど、このモデルもイタ車を見て抱いた気持ちとまったく同じでした。

こういうモデルは、この会社の作り方が合ってる気がする。雰囲気あるよね。