アバルトマジックの本質とは。走りの本性のチューニング
「本性を磨くチューニング」
アバルト プントって、なんでこんなに僕に刺さるんだろう、と思っていたらこんな考えに辿り着いた。
油圧でバルブ駆動する革新的なマルチエア・エンジン、ダウンサイジングターボや電動パワステなどエコ・コンシャスなパッケージ。
コーナリング時の姿勢やデフの制御などで各所に採用されたエレクトロニクスの数々。
このクルマの開発当時、最先端だった機能やスペックを取り込んではいるけれど。
だけどだけど、実際に乗ってみると、新しさよりも、昔からの古き佳き伝統的なクルマの風情を感じる。
昔乗ってた、いすゞベレットとか、アルファロメオ 1750ベルリーナ、シトロエンGSやBXとかと同じ“ニオイ”がするんだよ。
そのニオイは、クルマが本来持っていた「走りの本性」と言ってもいい。
エンジンに火を入れると、最新のハイテクが奢られたにもかかわらず、雰囲気は昔のエンジンそのままだ。
音で心を躍らせてくれるし、アクセルを踏む僕の気持ちと直結したような明快な吹け上がりで、気持ちをアゲてくれる。
いまのFF車にトルクステアがあまり感じられなくなったけれど、アバルト プントでははっきり過ぎるほど残っている。
エンジンをトルクアップしたことで、トルクステアがより強くなってしまっただけのことかもしれない。
でも、現代的な電動パワステから伝わってくるその強い手応えから、「操っている」「御している」という実感が生まれてくる。
ハイテク化によって「本性」が覆い隠されてしまったかのようないまのクルマとは違って、
ハイテク化されても「本性」がアバルト プントにはむき出しのまま残されている(残ってしまっている?)と感じる。
機構は新しくなっても、クルマの出来は昔のままなのだ。
そんなクルマは、古臭いといえばそうかもしれない。
でも、そんな「本性」に刺激されて走ってきたのが僕の人生だ(少し大げさ?)。
だからこそ、アバルト プントが良いんだ。これが良いと言いきれるんだ。
機械としての本性や存在感は、昔からあったけれど。特に旧車やイタ車、フランス車には色濃く感じられた。
フィアットが作ったプントも、アバルトのチューニング(仕上げ?)によって、その本性がもっと色濃く、鮮明に感じられるようになったのではないか。
単にパフォーマンスを高めるだけでない、走る機械としての「本性」を磨くチューニング。
それが現代の「アバルト マジック」の本質なんじゃないか、とさえ思えてきた。
この本は面白い。リアルスポーツカーの成り立ちが分かる。
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