自動車産業は、死んだかもしれない vol.4:いやいや、まだまだ死なない? ThreeHundred 関東ツーリング参加記

アバルト関連のカーボンパーツ、チューンアップパーツで“売り出し中”のThreeHundredのイベントに参加してきた。
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このThreeHundredのリーダー、山口さんとは2年前くらいにアバルト仲間経由で知り合って、以来、イベントやら走行会やらでお付き合いさせてもらっている。
山口さんのやり方で特徴的なのは、イベントだ。単にパーツやアクセサリーを売るだけでなくこの日のようなイベントを各地で開いてファンを増やし、それで売上げを伸ばしている。
去年はターンパイクの駐車場を一部借り切ってイベントを開いたし、岡山や九州など各地でも精力的にイベントを重ねている。

そのせいか、ファンは着実に増えている。ターンパイクのイベントにもたくさんの人が来ていたが、あのときは開催型のイベントでぶらっと参加した人も多かったと思う。
今回はツーリングで、しかも有料道路や昼食代というお金も実際にかかる参加型イベントだったにもかかわらず、40台以上、総勢50人以上が参加したそうだ。僕もビックリ!
図に乗って(笑)、今年は富士スピードウェイで100台規模のイベントも計画中とか。

AppleがiPhoneを出したとき、「大事なのは顧客のエクスペリエンス(体験)だ」とスティーブ・ジョブズが言っていた。
商品にどんな機能があるかどんな性能なのかがといったことではなく、顧客自身がその商品を通してどんな体験をし、どのような楽しみを発見していくか、そんな「体験」こそがこれからは価値があるんだ、と。
経済成長期の成功体験や性能信仰にどっぷりと浸っていたハードウェアメーカーのお歴々はちっとも理解できなかったが。

山口さんを見ていると、ジョブズ同様に「顧客エクスペリエンス」を大事にしている人だ思う。
ITガジェットとクルマ、分野は違うけれど。商品そのものと、パーツなど周辺商品という立ち位置の違いもあるし。
山口さん自身、自分が楽しいのでお客さんも巻き込んで「楽しい」をふくらませている、といった感じがしないでもないけど(笑)。

イベントに参加することで、自分が買ったパーツはどんな人が作ったのか、実際にその顔を見て、その人のことを知ることができる。
さらに、他のユーザーはどんなパーツでどんな風にドレスアップやチューンアップをしているか、実際にいろいろ見ることができる。で、趣味が合ったり、気があったりした人と知り合いになったり、親しくなったり、一緒に走ったり。そりゃもう、楽しくないわけがない。

まさに、アバルトを基軸にしたリアルSNSだ。今の時代にふさわしいやり方だと思う。

クルマという商品が成熟化しそれ自体に大して魅力が無くなったし、クルマ自体の魅力や価値も行き詰まっているように見える。そんな文句をこれまでブツブツと僕は書いてきたけれど。

でも、山口さんのような人がもっと出てきてくれると、クルマもまだまだ楽しいと思えるんじゃないか。まだまだ乗れそう。
ちょっと希望を感じた一日だった。