万年筆と、ボールペン。[ 日産リーフ 試乗記:特にモーター駆動に関して]

縁あって、今をときめくモータリゼーションの未来形、日産リーフに一日乗ることができた。
で、ああ、僕はやっぱりガソリンエンジンが好きだな、モーター駆動はのっぺらぼうで面白くないな。とあらためて思った。今回はそのことをつらつらと。

かなり前に2代目プリウスに乗ったことがあって、そのときのモーター駆動は下品だった。モーター出力がアップされたことを誇示するかのような強引な加速、最初の1回転目から最大トルクなので、ターボでフルブーストがかかったときのような加速が、アクセル踏んだ瞬間から味わえる。そのことをゲスいくらい、前面に押し出していた。

 



 

2代目プリウスは無表情で不気味な加速感だった

2代目プリウスの力づくの加速、あれは昔、豊島園にあった往復2回転の絶叫マシン、シャトルループみたいだった。ジェットコースターのような落下式ではなく、スチームを使ったカタパルトの馬鹿力で、コースターを勢いよく弾き出す。ウィキペディアによれば、一気に86km/hまで加速したらしい。

初速から最大Gの、圧倒的な加速。でもその感触はのっぺらぼう、無表情、無感情。大きなバケモノが「はい次!」とばかりに、コースターを有無を言わさず押し出してる、何の感情もなく義務感だけで淡々と、不気味なくらいに。そんな印象だった。
その無感情で不気味な加速感が、シャトルループでは「怖い」という気持ちを引き出して、その後の垂直2回転の体験をいっそう恐ろしいものにしてくれて、あれはあれで良かった。
そんな無表情で不気味な加速感が、2代目プリウスにもあった。ガソリンじゃない動力源って、みんなこんな感じ?

そんなことを思いながら、リーフのアクセルを踏んだら、あら!?
しっとりと、スムースに加速するじゃないですか。エコモードをオフにして、わざとアクセルをペタッと踏んでも、トルクが増え加速力がやや強くなった、という印象。

スッと動き出し、坂道でも力強く加速していく。この日、ターンパイクを大人3名乗車で走ったのだけど、料金所過ぎての最初の急坂をぐんぐん上っていったのにはビックリ。あえてアクセルを緩めて中間加速したけど、アクセル操作に車速がしっかりついてくる。
しかもそのときのモーターの回り方も、昔のプリウスにあったような自己主張の強いガキのようなものではなく、カドが取れてしっとりと優しい感じの回転感覚。なので、乗ってる人に無用な恐怖感を与えない。

リーフのモータ駆動は、洗練されてグッドだった。けど・・・

このモーターの回り方は、いろいろチューニングしたんだろうな、と急坂を駆け上がりながら思った。
さすが、発売から10年近く(初代は2010年発売)たって、人間でいえばガキの分際から、そろそろ分別つくような年代に成長しただけのことはある。

その上、ほとんど音がしない。こういう所でエンジン回したときの音が、普通のドライバーや乗員にとってストレスになって、それでエンジン回さない→登坂ペースが上がらない、ということになってしまう。
ほぼ無音のモーター駆動なら、そんな悪循環にもなりにくい。

そんなこともあってペースも申し分ない。軽四輪なんか、坂道でもあっという間に加速してパスできる。そのときの車内も静かで平和だ。普通の声量で会話できる。
うちのプントよりは遅いけど(笑)。でも、これだけの動力性能があれば、移動体としては充分なんじゃないか。
あとは、航続距離=バッテリー能力さえ伸びれば。←ここが一番のキモなんだろう

とはいえ、ね。
どんなにソフィスティケートされたって、やっぱり無表情、面白味はない。モーター駆動は。
シャトルループを動かしていたバケモノと同じようなナニモノかが、「はいはい」って言いながら義務的に退屈そうに動かしてる感じ。
パワーソースとしての、エネルギッシュさとか情感がまったくないんだよ。

やっぱり、楽しんで乗るならガソリン車だよ

モーター駆動の、この異質な感じは何だろうなー、と帰りの東名高速で考えていたら、そうだそうだ、あれだよあれ!
ボールペン!! 筆記具としてコモデティの極地まで行き着いた一品。

今どき、ボールペンの書き味がどうとか、インクの色がどうとか、こだわる人いないでしょ。
書きたいときにサッと出して書ければいい。別に自分のモノじゃなくても、もらい物でも、人に借りたボールペンでもいい。愛着なんかわかないよね。カランダッシュとかモンテグラッパとか、一部のハイブランドのボールペンを除いて。

今回リーフに乗って、モーター駆動のクルマに、そう感じた。
書ければいいよっていうボールペン同様、クルマなんて動けばいいよ、っていう人にEVは最適なんじゃないですか。オイル交換とかのメンテもいらないし。
最悪、借り物でもイイや、と思える点なんか、カーシェアリングにまさにぴったり!

その反面、心して手書きするなら、やっぱり万年筆じゃないですか。
ペン先の素材や字幅で書き味が選べるし、自分好みの色のインクを入れたりする“チューニング”も楽しいし。
書くうちにペン先が滑らかになって、どんどん自分のモノになっていくプロセスもうれしい。
こちらは、ほら、まさにガソリンエンジンのクルマのよう。

ボールペンが必要な人も、万年筆がいいという人も、世の中にはそれなりにいて(万年筆ユーザーはさすがに少ないと思うけど)、それなりに商品が揃っているように、クルマの世界もイロイロあっていいんじゃないですか。

僕は、やっぱり万年筆。請求書とか大事な書面を書くとき、いつも使ってるし(笑)。
そんなふうに考えたら、毛筆は蒸気機関なのかな(笑)

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アイルトン・セナの万年筆もある。キャップ先の色が、セナのヘルメットとおそろなのがおしゃれ