クアドリフォリオを貼りたかったから? [ F1アルファロメオ・レーシング復活の理由 ]
- 2019.02.11
- アルファロメオ イタリアンカー クルマ レーシング
- アルファロメオ・レーシング, アルファロメオレーシング
アルファロメオ・レーシングのF1マシンには伝説的な“クアドリフォリオ(四つ葉のクローバー)”の紋章が掲げられるとしており、表面上はアルファロメオのワークスチームとなるようだ。
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クアドリフォリオの紋章を正式に復活させたくて、アルファロメオ(というかフィアット)はザウバーを買い取ったの? それを今のジュリアのセールスプロモーションに活用したかったの? という思いが浮かんできた。この記事を読んで。
去年までのように、単なるタイトルスポンサーという関わりかたのまま、「ザウバーのマシン」にクアドリフォリオの紋章を貼り付けたら、やっぱりそれはなんだか決まり悪いからね。
ちなみにクアドリフォリオの系譜について、詳しくはこちらのオフィシャルページに出てる(トップ画像はそこからお借りしました)。
で、最後にちゃーんと、現行の2代目ジュリアのクアドリフォリオにつながってる(笑)。
ま、それもアリかなー。
イメージの時代の、イメージのビジネスだもんね。
化粧品からファッション、食品や日用品まで。クルマ業界だって同じだ。
メルセデスは、リーマンショックでホンダが放り出したブラウンGPを買収してF1チームを持った。
それによって、旦那仕様のクルマメーカーでしかなかったイメージを刷新した。
F1ではエンジン(PU)を自前で開発して技術力をアピールしたし、何より圧倒的な成績で速さと強さを世界中に印象づけた。
F1のチーム名にもなってる「AMG」は、販売ではスポーティカーのサブネームとしてちょっとしたブランドになったし(昔は下品なクルマ出してたのにw)、
それを冠したAシリーズとか豊富なラインアップで人気だし、
おっさんばっかりだったユーザーの若返りにも成功しつつある。
技術力を磨きながら商品開発を行い、
その上でF1参戦による商品や企業に対するイメージアップなども上手く絡み合わせながら、
企業価値を見事に引き上げた例だと思う、メルセデスは。さすがドイツ人はやることが緻密。
これと同じようなことをアルファロメオは、というかフィアットは、というかマルキオンネは狙ってるんじゃないか。
F1のプレステージ性を利用してブランドの価値を上げる。今の新型ジュリアとかもそのオーラをまとうことで、少なくともBMW 3シリーズとかアウディA4とかよりは「なんか凄そう」、メルセデスとだって何とか肩を並べるようなイメージづけができるかも!?
実際、ジュリアには「クアドリフォリオ」というグレードを設定したしね。そのスペシャルな感じをアピールするために、同じクアドリフォリオの紋章を付けたF1マシンは格好のイメージシンボルになるだろうし、
アルファロメオとクアドリフォリオのワッペンを付けたライコネンやジョビナッツィは、有能なセールスマンとして文字通り世界中を飛び回って、きっと成果を上げるだろう。
それが良いとか悪いとかの話じゃなく、そういう時代になっちゃったんだ。
もはやアルファロメオはフィアットのいちブランド、ぶっちゃけて言っちゃえば、イメージでしかない。エンジンからシャーシまで、メカニズムのオリジナリティなんてそんなに残っちゃいない。
フィアットが作り、昔ながらのイメージを引き継いでアルファロメオと名付けたブランドのクルマをユーザーは買っている。アバルトだってそう。
ちょっとした味付けとデザインの違いが、僕らユーザーの選択肢として残ってる程度だ。
「新車」っていったって、それはほかのプラットフォームを利用して、すでにあるエンジンをポンと積んだ派生モデルでしかない。
だから、新車が出るたび、雑誌では「このマシンはどのモデルとプラットフォームを共有してて、エンジンはどのモデルに積んでいるのをどのくらいチューンして載せてるか」が、まっ先に語られる。
今ある技術の組合せでしかないから、性能はどのメーカーも似たようなもんだし。
フィアットとアルファロメオに限らず、プジョーとシトロエン、日産とルノーとかだって似たようなもんだし、ブガッティとランボルギーニは、こんどからポルシェが作るそうだし。
どのメーカーも生き残りに躍起になって、モデル生産の効率化を進めてる。
そうなってくると、大事になるのはイメージだ。モノが同じなら、イメージで価値を付けていくしかない。
同じようなメーカーの間でも、歴史や伝統があったりしてイメージが良いブランドの製品の方が、何となく価値がありそうに感じられるでしょ。
日本では時計やカメラ、そしてクルマも、日本製がどんなに性能が良くたって、古くからの海外ブランドの製品を有り難がる人が多いように。
これから大切になるのはそういうイメージ戦略だ。ブランドイメージ。
みんな知ってて注目しちゃいそうな古くからのブランドが、イタリアのカーメーカー(というかフィアット)にはたくさんあるじゃないですか。
フェラーリをはじめ、
マセラティ、アバルト、
そしてアルファロメオ。(ランチアは残念 (T_T) )
そういう状況を考えると、F1というイメージ戦略にアルファロメオが打って出るのは、悪いことじゃないと思う。
これほどF1が似合うメーカー、ほかにそうないからね。
F1という非常にリアルなステージに、自らのイメージを高揚させるために復帰する。
ザウバーという、経験も人員も設備も整ったチームを買い取り、
運営管理用の資金と人員のみを投下する。
技術的にはアルファロメオとしての資産ではなく(投下したくたってほとんど残ってない)、フィアットと関係あるフェラーリの資産をつぎ込む。
言ってみれば、ヴァーチャル参戦だ。
アルファロメオ・レーシングのマシンを一皮めくれば、
それを支えているのはザウバーの技術だし、
フェラーリのエンジンだし、
マシンを実際に動かすのは、ザウバーのスタッフ。
「走る実験室」と、昭和時代に本田宗一郎はF1参戦の意義を言ったが、
「走る広告塔」だ、いまは。
イメージの時代の、イメージ戦略。非常にイマっぽいんじゃないか。
これからの新しい参戦スタイルになるかも。
アストンマーチンも参戦の準備をしてるという噂があるけど、そっちはどうなるんだろう?
僕はこのヴァーチャルなF1レーシングチームに声援を送ろう。
アルファロメオっていうメーカーは、現実にはもはやイメージの中にしかないんだし、
2次元の、スクリーン上だけのアイドルに夢中になる人がいるくらいだから、
このイメージだけのF1チームに声援を送ったって、いいじゃないか。
少なくとも、ライコネンをはじめリアルな人間がそこにいるし、
アルファロメオという看板のもと、思いもよらないドラマがきっと見られるはずだ。
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