おっさんF1ファン必見! ジャッキー・スチュワート 映画『ウィークエンド・チャンピオン~モンテカルロ1971』
- 2017.09.25
- アラフィフのキモチ クルマ レーシング
- ジム・クラーク, ジャッキー・スチュワート, フランソワ・セベール, ロニー・ピーターソン
良かった!
70年代の“古き佳き”モーターレーシングの空気が伝わってくる。
2年前に公開のニュースは聞いていたけれど、なんだかんだで見られなかった作品。先日、アマゾンで発見してやっと見た。
なんてったって、貴重なドキュメント映像ですよ。
レースウィークにこんなにリラックスしてしゃべってるワールドチャンプ、見たことない。
いまはスポンサーとかセキュリティとかで、ここまでざっくばらんな映像は撮れないと思う。それだけでも見る価値あり。
だって、予選と決勝の朝一番のシーンなんか、スチュワートがパンツ一丁でしゃべってるんですよ。で、その内容がモナコグランプリのエピソードとか、コースの攻め方とか、クルマの走らせかたとか。
「ゆっくり、滑らかに走らせるんだ」ってチャンプのアドバイス、何回だって聞きたいくらい。
それと、映画を撮った1971年は前年のヨッヘン・リントなど、事故死が相次いでいたシーズン。マスコミの報道にスチュワートが顔を曇らせたり、フィアンセ(?)が不安な気持ちをポランスキーに打ち明けたり、3人に1人が死ぬと言われていた当時のドライバーの状況を浮き彫りにしている。
スチュワートがレースの合間にスポンサー・サービスをする様子も新鮮。記念に配っていたグッドイヤーのパーカー、あれ欲しい!!
僕の大好きなロニー・ピーターソンもチラッと出てくるし、ジム・クラーク、フランソワ・セベールといった、写真でしか見たことない人が動いてしゃべってるのも新鮮。
スチュワートはセベールを可愛がったってよく聞くけど、その様子もバッチリ映ってる。ほんとうに大切に、丁寧に育ててる。いまのF1ドライバーに、こんな師弟愛ってあるかな?
のんびりした当時のレースの雰囲気も良い。
ピットレーンなんか、ホームストレートのすぐ脇。ピットウォールさえもない。ピットインしたマシンのすぐ脇を、他のマシンが猛然と駆け抜けていく。
スタートの合図はフラッグマン(これについてのエピソードも語られている)がやるが、これがまたレースカーにひかれそうだったり。
それにプラクティスやレース中も、コースのすぐ脇で人が見ている。ボー・リバージュの上り坂なんか、歩道にレスキューのおっさんが寝っ転がったりしている。
それに、舞台がモナコなのがいい。
サン・デヴォーテからからミラボーくらいまで、まわりの景色が40年以上経ったいまもほぼ同じに見える。カジノ立ち上がりの路面のアンジュレーションまで同じか、と思うくらい。そこをスチュワートのティレルがサスペンションをソフトに動かしながら前に進む。いまのカチカチなF1との違いがよく分かる。
プールサイドのシケインやラスカスなどはいまとは違っていて、それはそれでまた面白い。
モナコならではのゴージャスさもイイ!
モナコといえば、レーニエ大公とグレース・ケリー。本当のセレブリティだ。この映画でも何度か登場する。昔の表彰式は、ステージに上がる階段の途中でトロフィーをもらう。同じステージに上がって祝福を受けるのはもっと後だったんだ、と知る。
それと、沿道の熱狂、レース前後のパーティ、その会場の豪華なこと。スチュワートとこの映画を撮ったロマン・ポランスキーが滞在したホテルも豪華な感じ。ヨーロッパの歴史と文化の分厚さを感じる。
他にも、登場する人の70年代ファッションが素敵! こういうテイスト、ちょっと前から流行ってもいるので、新鮮だけど身近な、そんな気分で見られる。
ナスターシャ・キンスキーと付き合っていたロマン・ポランスキーも、昔は色男だった。
そんな2人が、じいさんになって、再びモナコのホテルで語り合うシーンには、なんだかしんみり。
正直、ジャッキー・スチュワートって僕がF1を見始める前の世代のドライバーで、単なるレジェンドの1人だったけれど、この映画を見て見直した。いい人じゃん(笑)。
おっさんのF1ファンは必見ですね。すごい必見。
—————-
レンタルでいますぐ見れる。便利な時代になったもんだ。でも400円はちょっと高いけど。
これも要チェック! 以前、ネットのデータ販売で売っていたものが日本語DVD版でも出ている。
- 前の記事
イタ車あるある! ちょっと合ってないチリ、気になるチリ。そんなチリチリ・モヤモヤな話。 2017.09.21
- 次の記事
ジャッキーが教えてくれるドライビングの極意。映画『ウィークエンド・チャンピオン~モンテカルロ1971』 2017.09.28