2017年、理性ある自動車メーカーによる、自動運転技術の正しい開発に期待します。

2017年、理性ある自動車メーカーによる、自動運転技術の正しい開発に期待します。

2016年は、自動運転の技術にとって、ひとつの節目になった年だった気がする。

まず、“自動運転”をうたったテスラが死亡事故を起こした。
『米テスラ、「自動運転モード」作動中に初の死亡事故』

その“自動運転”はレベル2で、運転アシストでしかなかったわけだけど。
『死亡事故のテスラは自動運転車ではなかった』

また9月にも死亡事故が起きている。
『テスラ、中国での死亡事故「原因特定できず」』

この一件がターニングポイントだったように思う。
まず、自動運転技術に対する不信感が出てきた。本当に自動運転が可能なのか、そして安全なのか。
IT業界は、ユーザーを置き去りにして開発に急いでないのか。

 事故の2か月前、デュ―ク大学のロボット工学者ミッシー・カミングスは米議会で、まるで事故を予見するようにこう証言した――「自動車メーカーは、自動運転の安全性が確立されていないのに発売を急いでいる……誰かが死ぬことになる」と。テスラの社名こそ言わなかったが、ドライバーがハンドルから手を離すことを許している自動車メーカーはテスラだけなので、カミングスも念頭に置いていたのだろう。

出典元:『死亡事故のテスラは自動運転車ではなかった』

そして、Appleが自動運転の開発をトーンダウンさせる。

さらに、このプロジェクトを以前から強力に推進していたGoogleが、完全自動運転の開発を断念する。
これについてはエントリを書いた。

自動運転、やっとGoogleも正気に返ったか。

断念した理由として挙げられているのが、次の2点
◎ミシガン州で自動運転の公道走行試験を可能にする法律ができたが、それができるのが「自動車メーカー」に限られた
◎自動運転車の普及に前向きだったカリフォルニア州で反対論が強まった

私の勝手な想像だが、テスラの死亡事故で自動運転に対する懐疑的な見方が広まり、ミシガン州のように“これ以上開発するなら自動車メーカーに限る”という姿勢に変わってきたのじゃないか、と。

私は、IT企業が自動運転車を開発することに対して、反対だ。
IT企業は焦っている。スマホの次に実現できる“イノベーション”を探して焦っている。その焦りがテスラの偽りの“自動運転”につながって、死亡事故まで起こしてしまった。
理性を失った開発姿勢で社会の害悪になりかねない技術が生み出され、製品として普及しようとしている。そういう危機感を感じている。

Appleがケータイの会社からモバイル通信の主導権を奪ったように、新たな“イノベーション”を起こしたい。そんなIT企業が目を付けたのが「自動運転」の技術だ。いち早く開発できれば、Appleがスマホでやったように、自動車メーカーからイニシアチブ=利権と利潤を奪取することができる。
そうなるためにライバルに先んじたい。そんな、よこしまな気持ちでIT企業は「自動運転」に取り組んでいるに違いない。

クルマは人の命を預かるものだ。そして交通システムは社会全体の生命や財産にも密接に関係する。スマホを作るのとは困難の度合いが天と地ほども違う。IT企業にスマホ感覚でクルマを作られたら、たまったもんじゃない。

そんな思いで以前、次のようなエントリを書いたこともある。

家電屋さんの上から目線にイラッときたので、釣られて反論してみた(笑)

2017年、自動運転の技術に関してミシガンのような判断をする国や自治体がきっと増えるはずだ。開発のイニシアチブは“本業”の自動車メーカーに移っていく。
これが本来の姿だし、理性をわきまえたメーカーによる「正しい開発」を進めていってほしいと思っている。

新作の制作開始がリリースされたので見直したら
ちょうど2017年のストーリーだったw

画像はこちらより