過去はやっぱり美しい。それがフランスなら、なおさら(笑)[ FRENCH VINTAGE LIFE ]

過去はやっぱり美しい。それがフランスなら、なおさら(笑)[ FRENCH VINTAGE LIFE ]


ベルギーが勝つと思ってたんたんですけどね。というか、ベルギーに決勝まで行ってもらった方が、日本の強さに“ハク”が付く、って邪(よこしま)な気持ち、ただそれだけだったんですけど。ロシアワールドカップ、準決勝でのことでした。


ベルギーに勝って決勝進出したフランスをお祝い、とかする気はさらさらないけど、こんな本を買いました。ひさびさ。本屋に立ち寄ってもう即買い。

 



 

はっきりって、最近のクルマの良さはまったく分からない。
この前、新しいカローラが走っていったけど、あのデザインの何がいいのか分からない。
合理化だかなんだかわかないけど、3気筒って、やっぱり音がヘンでしょ。
同じエンジンとシャシーで、違うメーカーどうしで別々のクルマを作りっこしたり(あ、これはウチのプントもあてはまるな)。

世界の経済やエコロジー、エネルギー、それから次世代の自動化システム開発とか、もろもろの動きに振り回されて、今のクルマ業界はヘトヘト。クルマなんて作ってるヒマない、って感じだもんね。

僕らユーザーがあこがれたり、夢見たり、スゲーって目をまん丸くしたり、そんな技術も商品=クルマなんて、そうそう出てこやしない。
あるのは、過去の栄光のみ。
クルマの感動や興奮は、もはや過去にしかない。

ガソリンを喰らわせてパワーを稼ぐために、6気筒8気筒12気筒へどんどんエスカレートしたり、でっかいキャブ付けたり。
そのエンジンを前に置いたり後ろに置いたり。
空力を追求して鼻先を尖らせてみたり削ったり、お尻をどーっと長く引っ張ってみたり。

1970年代、オイルショック前のクルマ業界は、ホント賑やかでパワフルでおもしろかった。
ベストな答えを見つけたくて、ヨソのヤツが考えつかないようなコトをカタチにしたくて、みんな必死になって動き回って、その結果、おもしろかったり楽しかったり奇妙奇天烈だったり、そんなクルマがたくさん生まれた。
ホントに黄金時代だったよな。僕はその最後期あたりをリアルタイムで経験してる。子供のころだったけど。

そんなクルマ黄金時代を、フランスという切り口で見せてくれるのが、この本だ。
冒頭に出てくるのがルノー8ゴルディーニ。その本文には“コンピュータをちょこちょこっといじったような、今のクルマはなっちょらん!”みたいな、昔気質の頑固な爺ちゃんのセリフみたいな一説がある。
その一節を肯きながら読んでしまったのは、僕も歳喰った証拠なのかな。
(このことっていま乗ってるアバルト プントにも当てはまる。実を言うと最初から僕もそう思って乗ってる)

本は、写真を中心にしたグラフィカルな構成なので、出てくる人たちのファッションとかを見てるだけでも楽しい。
日本の片田舎で育った僕には、ピクニックとかの光景がもうまぶしくてまぶしくて。こんな「すてきなカーライフ」を、彼らはもう1世紀くらい前からやってるんだよね。

で、その分厚いクルマ文化がいまもなお脈々と受け継がれていることがこの本を見ていると分かる。もう、うらやましすぎる。
ちょっと古くなったからといって旧車に重税をかける日本とは大違いだ。この本に出てくるクルマはその3倍も4倍も古いクルマたちだぞ。

イタリアバージョンはないのか、と思って本屋で探したけどなかった。Amazonにはあった。