ホンモノのアバルトが走った、感動した!! [ クラブ アバルト ジャポーネ走行会@フジショート ]

ホンモノのアバルトが走った、感動した!! [ クラブ アバルト ジャポーネ走行会@フジショート ]

これはもう、クルマ文化のイベントですよ

この日のメインイベント、ABARTH 3000 SP 走行、ドライバーはル・マン ウィナーのレジェンド、関谷正徳さん!

固唾を呑んで見守る、ってまさにこのこと。しんと静まりかえったサーキットに、アバルト製V8 3リッターの音が響き渡る。
いま思いだしても、とても神聖な時間だった。

そして走行後、ピットに戻ってきて、、

ブリッピングの爆音と入れ替わるように、自然と湧き上がった暖かい拍手。
それまでピンと張りつめてた空気が、一気に緩んだ。みんなの顔も緩む。

「クルマのイベントはさ、走らせないと面白くねーよ」
この企画運営に携わった御大が常々言ってたことが、まさに具現化されたようなイベント。
カッコいいクルマが走って、普段聞けないような圧倒的な爆音に包まれて、排気ガスの匂いをかいで、そうするとそこに感動や笑顔が生まれるし、会話が弾む。
やっぱり、クルマのイベントは走らせなきゃ、おもんない。
走らせたら、こんなに圧倒的に面白い。

大げさな話をすると、これはもう文化だな、とまで思っちゃって。
向こうにあるじゃないですか、グッドウッドフェスティバルを筆頭にしたクルマを走らせてみんなが楽しむイベント、それの日本版、アバルト版だと。
僕はイタ車界隈しか知らないので、ドイツ車、英車とかは知らんけど。

CLUB ABARTH GIAPOONE “GranPremio SCORPIONISSIMA”

3月20日、フジスピードウェイのショートコースで開かれたこのイベント、クラブアバルト ジャポーネのメンバーによる走行会。このクラブは確か、イタリア本国公認のれっきとしたもので、メンバーが凄い。
メンバーが凄いもんだから所有してるアバルトも凄い。750GTザガート“ダブルバブル”とか、1000ビアルベーロとか、1300SPとか、850TCとか、131とか、037ラリー(しかもEVO2)とかとか、これだけ並ぶと壮観。最初、パドックを見たときになんじゃこりゃ、アバルト博物館じゃねーか!?と思ったんだけど、しかもこれがみんな走る。
カッコいい、しかもいい音、これこれ、これですよー、ガソリンが爆発して空気を震わせる音!そして、ガソリンが燃えた匂い。それらを肌で感じて、みんな興奮しちゃってるし。僕もその一人。



この日は、復活アバルトやアルファロメオ、ランチアなども参加。アルファなんかジュニア・ザガートとか75エボルツィオーネとかも来てて、これはこれで凄い。滅多に見られない。もう、幸せすぎる。
さらに、僕のプン友も2台出走。カッコよかったよー!

そして、もっと凄いのが!
冒頭movieの3000 SP。マジモンのレーシングカー、しかも当時のグループ6。本でしか見たことないマシンが、ダウンドラフトのキャブにガソリン垂らして、始動してるじゃありませんか! エンジンの始動儀式に、こんなにワクテカしたの久しぶり。

ABARTH 3000 SP

その3000 SP、走行後、関谷さんに話をうかがった。
「今のマシンに比べてやっぱり古いから、ブレーキは効かないし、シャシーが柔らかいのでまっすぐ走らないし、曲がりにくい。よくそれでコースアウトしたりして亡くなったドライバー、多いでしょ」
シャシーとかサスペンションの受けの剛性の弱さを、掌とかも使って分かりやすく解説してくれた。ありがとうございます。

この3000SP、詳しくはこちらへ。エンジンフードのバーに「SE13」って入ってて、いっしょに見てた人が目ざとくチェックしてた。

シート脇にサインがしてあって、これ誰だろ? って考えたら、アルトゥーロ・メルツァリオじゃないですか! ワオ!! アルファロメオやフェラーリのスポーツカーレースで活躍した人で、ル・マンとかタルガフローリオとかでも活躍した。この3000SPにも乗ったことがあって、このサインはその証というわけ。

いろいろ見たり話してたら、さっきの関谷さんの話が蘇ってきた。タルガなんて、もう舗装路モトクロスかと思うぐらいにデコボコ路面で、しかも一周70キロぐらい、それを7〜8ラップぐらいする、過酷すぎるレースですよ。そこを「止まらない、まっすぐ走らない、曲がらない」マシンで、しかもレーシングスピードで走って、生きてフィニッシュするなんて、もはや神ワザ。

目の前の真っ赤なマシン、そこに記されたサイン、そして轟音、さらにレジェンド関谷さんの生の声に、僕の中で真っ赤なマシンがものすごい勢いでシチリアのロードコースを駆け抜けていくシーンが蘇った。
昔々に紡がれた、スピードのロマンというか誘惑というか、そこにのめり込んだ男の情熱とか生き様を、肌で感じた気がした。