オサーンのクルマ選び条件:楽しく乗るなら、クルマのエンジンはトルクで選ぶ。パワーじゃないよ。(アルファ編)
バイクのRZで、運転の楽しさはエンジンで決まるみたいなことを感じたけど、じゃ、クルマはどう? って考えたわけ。
バイクは軽いからRZみたいなピーキーなエンジンでも楽しく走れるけど、クルマの場合は重いし荷重の変化(乗る人の数)も大きいから、低回転域からちゃんとトルクが出てるエンジンじゃないと、まともに運転できない。
クルマの場合は、トルクの出方と、エンジンの回転フィール。
それが大事だよ〜♪ って確信させてくれたのが、古いアルファロメオ、ベルリーナ1750。
僕が乗ったのは1971年製で、乗ってたのが1990年初頭だったから当時でさえすでに20年モノ。いまだったらアラフィフ!?
古いエンジン、古いボディ、古い内装、ショボいデザイン。だけど、とびきり楽しかった。
搭載されていたのは、戦後アルファの一時代を築いたアルミ製直列4気筒エンジン。ナトリウム封入エキゾーストバルブなど、凝った設計で、トヨタ(ヤマハ製)の2T-Gエンジンのベースになったともいわれている。
実際に運転したことあるけど、回転フィールはよく分からなかった。でも、ミッションから突き出たシフトノブの角度はそっくりだったよね。確かに。
そのアルファのエンジン、1300c.c.に始まって1600、そして最大で2000c.c.まで拡大された。途中、1750エンジンが作られたけれど、実際は1779c.c.あって、日本車だったら「1800」と名乗るところ、戦前の「6C1750(戦後になって、オフィシャルのレプリカが製造されたほどの名車)」にちなんで「1750」と名付けられた。歴史と伝統を踏まえたアルファならではのネーミングは、すでにこの1970年代から始まってたわけだ。
前置きが長くなったけど、僕が乗ってたのは、その1750が載った4ドアセダンのBerlinaだった。
1750エンジンは、シュンシュン回る1600と、トルクフルな2000のいいとこ取り、といわれていた。実際に乗ってみると、分厚いトルクが出ていて、しかもレスポンス良く吹け上がっていく。
だから、どこを走っていても楽しい。街中の交差点を曲がるときだって楽しくてしかたがない。それまで3速とか4速で流すように走っていて、交差点を曲がろうとするそのとき。
ヒール・アンド・トゥー、そしてダブルクラッチで、フォンフォンとギアを2速に。
エンジンのレスポンスがいいから、すべてがリズミカルに決まる。向きを変える。そして立ち上がる。
交通の流れに影響されて思いがけずスピードが落ちる=エンジン回転が落ちても、トルクが分厚いからすぐさまリカバリできて、スピードを上乗せできる。
終始、テンポ良く、自分のリズムを刻みながら、走って行ける。だからやめられなくなる。もっと走りたくなる。
そんなふうに、リズミカルで楽しい走りを生みだす、まさに“心臓部”となってくれていたのが、あの1750エンジンだ。
1600は一度乗ったことがあるけど、あそこまでトルクフルじゃなかった。ちょっとスカスカ感があって、だから余計に回したくなった。実際、1750より軽快に回るけど。2000は乗ったことないな。
正直、僕が乗ったBerlinaはルックスがとてもしょぼかった。ホイールベースが無理に伸ばされ電車みたいなフォルムだったし、デザインもモダナイズされてしまったので、前モデルのジュリアのようなアクの強さも、強烈な個性も失せていた。
だから値段が安くて、ビンボーな僕でも買えたんだけど(笑)。
だけど、エンジンだけはベツモノ。「脱ぐとスゴいんです!」っていうCMがあったけど、エンジンはスゴいんです、っていう感じ。その逆、カッコだけのクルマはいくらでもあるんだけどね。
もう一回、趣味で走るなら、トルクフルで軽快に回る、1750 Berlinaみたいなエンジンを積んだクルマで、って思ったんだ(けど、デザインはもうちょっと良い方がいいな)。
21世紀になって、環境のこととか、資源のこととかいろいろ課題を抱えるようになったけど。
いろんな意味で貴重なガソリンを燃やして走るのだから、だったら楽しいエンジンじゃないとせっかくのガソリンがもったいない。それに、CO2も浮かばれないんじゃないの!?
なんて思ったりもして。
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