アルファの“血統”を、アバルトは持っている。と思う(ちょっとしたいいわけ?)。

アルファの“血統”を、アバルトは持っている。と思う(ちょっとしたいいわけ?)。

アバルトには、三つの顔があると思う。

ひとつは60年代の“チューニング屋”として、
次に1970年代、フィアット傘下のレースマシン開発部門として、
そして2000年代からのフィアットのスポーツラインのブランドとして。

僕らより年上の世代にとって、アバルトといえばオールド・チンクエチェントをベースにしたレーシングマシンだと思う。
エッセエッセとかアセットコルサとか、595とか。フィアット以外のアバルトシムカとか、オリジナルのレーシングマシンとか。
それから“マルミッタ・アバルト”を代表とするチューニング・パーツ。
どれも、1960年代の頃だ。

2014年の「アバルトデイズ」に揃った“オールド・アバルト”たち
2014年の「アバルトデイズ」に揃った“オールド・アバルト”たち。どれもカッコイイ!

 

1970年代に入るとフィアット傘下となり、フィアット各社を初め、同じグループ内のランチアやアルファロメオ、マセラッティなどのレースマシン開発、市販車開発サポートなどの“部門”として活動している。

僕がなじみ深い「アバルト」はこの頃のモデルたち。それまでのビジネスモデルの通りにフィアットの大衆車をベースにした
アウトビアンキA112 アバルト、
フィアット リトモ アバルト 130TC
とかをリリースしていた。リトモ アバルトなんて、僕はホントにほしいと思ってた。

その後、フィアットが「アバルト」のブランド使用を停止してしまったために、マシンのネーミングなど表だって出てこなくなりました。
また、ランチアやアルファのレーシング部門も合流してきたため、これらのメイクスと合同でマシン開発を行うようになったわけです。

東京・代官山の蔦屋書店で開かれたアバルトのイベント(2014)で。ランチアデルタS4も、アバルトの“作品”なので、参加しても別に不思議じゃないですね。
東京・代官山の蔦屋書店で開かれたアバルトのイベント(2014)で。ランチアデルタS4も、アバルトの“作品”なので、参加しても別に不思議じゃないわけですね。

“037”ランチア・ラリー、
ランチアデルタS4、ランチアデルタ・インテグラーレ、
アルファロメオ164プロカー、
アルファロメオ155 V6TI・DTM、
アルファロメオ156GTA・・・

ほら、これらのマシンの名前を聞くと、つい振り向いちゃう人が多いんじゃないでしょうか。僕もそのひとり。
これらは全部、リリースされたときは各ブランドのマシンとしてレースに出場したりしていたけど、アバルトのスタッフが開発に携わったマシンとしてコードナンバーが与えられている。
つまり、“アバルトの作品”というわけ。

アバルトは、60年代に蓄積したレースのテクノロジーやノウハウをベースに、
1970年代からはイタリア・レーシングマシン(フェラーリは別格)の核として、その情熱と進化を支え続けてきたといえなくもないわけで。

2011年1月号のカーマガジンに、“暗黒時代”のアバルトが特集されている。隣のカーグラは、以前のエントリでも引用したもの。どちらも“勉強”になりました!
2011年1月号のカーマガジンに、“暗黒時代”のアバルトが特集されている。隣のカーグラは、以前のエントリでも引用したもの。どちらもアバルトの“参考書”!
そのカーマガジンの特集ページ。アバルトの“作品”として掲載されている。
そのカーマガジンの特集ページ。アバルトの“作品”として掲載されている。
他にもこんなマシンがずらり。このほかにも2見開きに渡ってずらり紹介されている!
他にもこんなマシンがずらり。このほかにも2見開きに渡ってずらり紹介されている!

そんなアバルトの“作品”の中で、僕の場合はアルファロメオ155 V6TI・DTMですね。一番印象深いのは。
赤いボディに大きくプリントされたアルファの紋章。翌年以降はマルティニカラーとかいろんな派生モデルが出てきたけど。
ナンニーニやニコラ・ラリーニのドライブでメルセデスやBMWのマシンを打ち負かして、1993年にはメイクスとドライバーズ、両方のタイトルをゲット!

F1参戦などもあまりぱっとしていなかった“ダメダメ”のアルファロメオが、ドイツの国際格式のレースでいきなりチャンピオンになるなんて、1980年代「バース、岡田、掛布」の阪神が優勝したときみたいな“興奮”を憶えましたね(笑)。
確か、カーグラフィックTVでDTVのダイジェストを放送していて、それを毎戦、心待ちしていました。ほかにも雑誌やミニカーを買いあさったり、田宮から出ていた10分の1ラジコンまで買い込んだり。まさに狂喜乱舞だったですね。

あのときの、あのカッコ良くて強かったマシーンが、アバルトのコードナンバーを持っているマシンだったなんて!!
今回、アバルト プントを買うに当たって調べて初めて知ったわけで。

1970年代からグランデプントで復活する2000年代まで、アバルトにとってはいわば“暗黒時代”だったかも知れないけど、逆にこの間、アルファロメオなどそうそうたる経験とノウハウを持った他のメーカーとの“熟成”が進んだ、ともいえるのではないか、と。
イタリアン・レーシングのスピリットとテクノロジーが、コルソマルケのオフィスと工場でゆっくりと醸成されていたんですね。マッサンのウイスキー作りみたいに。

だから、僕が初めてアバルトのアクセルを踏んだとき、そこにアルファロメオの“血筋”のようなものを感じたのは、あながち僕の錯覚ではないと思う。

って、長々と書いてきたけど、要はアルファからアバルトに宗旨替えした理由(いいわけ、ともいう)を書いているに過ぎない、と突っ込まれてしまったら、そうかもしれないんですが(笑)

 

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