クルマの故障、それはユーザーが“壊している”ことがある。

クルマの故障、それはユーザーが“壊している”ことがある。
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むかしのクルマと付き合うのは、それなりの“作法”みたいなモノがあるわけで。

「パワステが壊れちゃって、さ」
って、アメ車のミニバンに乗ってる知人がこぼしてた。

「はーん、据え切りしてたでしょ」って聞いたら、案の定そうだった。
彼の駐車場は狭くて、何回か切り返しをしないと入れられない、出せないといった環境。
なので、ステアリング系統に負担がかかりすぎてしまったんだね。きっと。

こんな風に、使ってる人が壊してしまうクルマの故障って、けっこうあって。特に輸入車に多い気がする。

 

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アメ車に限らずステアリングのメカは、据え切りをするとものすごいストレスがかかる。だから、ほんのわずかでもクルマを動かしながら切ってあげるようにする。少しでもタイヤが回転すれば、ステアリングのギアにかかるストレスが減って、結果、長持ちにつながる。
日本車メーカーだったら「日本のユーザーは、手のひらをパーにしてハンドルぐるぐる回して据え切りする」って知っているから、しっかり対策しているようだけど。アメリカの設計者は、そんなこと知らないよね。だいたい、アメリカの駐車場ってだだっ広いし。

これは古いクルマで教わったことなんだけど、暖機の問題。
エンジン始動直後、暖機は欠かせないけれど、水温計の針が適性温度になったからといって暖機がおわったわけじゃない。
単に水温が上がっただけなので、エンジンオイルとか、クランクシャフトのベアリングとかはまだ温まりきったわけじゃないし、トランスミッションだってデファレンシャルギアだって、まだまだ。

だから、水温計だけ見て「暖機が終わった、飛ばすぞ」というのは、準備運動も終わってないのにいきなり全速力で駆け出すようなもの。新車で機械強度や潤滑性が保たれているうちはいいけど、いつか必ず調子が悪くなる。壊れる。
旧車のに乗ってた頃、「最低でも30分くらいは普通に走ってください。そうしないとミッションとかデフまで温まらないので」ってショップのメカから教わったことがある。

昔のクルマは、エンジンをかけるときにチョークを引いたり、キャブレターだったりで本当に全部温まりきらないと調子悪くて走れなかった。ホント、デリケートだった。
けど、いまのクルマはお手軽で多少の無理もきいてくれてしまうので、ユーザーはあまり意識してないと思うけど、実はメカにはけっこうストレスがかかったりしてる。

せっかく好きで乗っているんだもの、クルマのことを理解したり、気を使ってあげたい。
少なくとも使い方が悪い、乗り方が悪かったから壊れた、ということはないようにしたい。
そんな感じでクルマと付き合って行くことも、この趣味の楽しみのひとつだと思ってる。

パーツがトラブったりして壊れたら、それはそれで仕方ないけどね。

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イタ車の整備といえば工具はBata、の時計。オレンジがオシャレ。