うちのアバルト プント、低回転構造改革:スロコンで良くなりますか? プロに聞きました
前回から引き続き、こんどはエレキ編、スロットルコントローラー(スロコン)について。
「カクカクしかじかだけど、スロコンで良くなるかなぁ?
クルマの電子制御プログラムの開発をしている人とたまたま話すチャンスがあって、そんな質問をしてみました。ちなみにこの人、うちのアバルト プントをはじめいろんなヨーロッパ車のエンジンECU(ROM)を開発してる人。その“プロフェッショナルの流儀”を聞いてみたわけ。
sponsor link
「なんか、もったいないよね」 僕の質問に対するプロの第一答がこれ。
スロコンで低回転域のレスポンスを良くしようとするなら、この部分のドライブ・バイ・ワイヤ(DBW)のスロットルの制御をいじって、低回転からスロットルを開けるように信号を変える。
階段を一段一段上がるようにしていたのを、一段飛ばし、二段飛ばしで上っていく感じ?
確かに低速からスロットルが積極的に開くようになる、つまりレスポンスは良くなる。けれど、トップエンドまでのステップが短絡になる(粗くなる)ので、つまりすぐに吹け上がるようになっちゃう。
それに、トップエンドまでのステップが短いということは、中速域のアクセルコントロールの幅が狭くなるということ。それによって低回転以上でエンジンのコントロールに制限が出てきてしまう、中〜高回転域の“おいしい”ところをうまく引き出せなかったり、すぐに吹き上がってしまうようになる。
低回転のレスポンスを良くする代わりに、それ以上の回転域のコントロールが犠牲になってしまうわけだ。
「それって、もったいないっしょ?」と、プロは言うわけです。
なるほどー。低回転は良くても、中〜高回転は楽しさがスポイルされそう。確かにもったいない。
このプロがスロコン開発をしている人だったら「いーよー♡ばっちりだよ」ってなって、スロコン入れてこの低回転構造改革も一件落着だったかもしれない。
それがこのプロのかたはECU開発者だったからね、話がこういう風向きになった、ということはあると思う。
しかも。
僕は「ソレ・タコ・デュアル」時代の、型式が古い人なわけ。親からは「ビタミン剤なんかよりちゃんと野菜食べて栄養摂りなさい」って言い聞かされてるし、だから薬なんか飲む前にちゃんと食べて寝ればカゼぐらいだったら治るよ、って思ってるし。
要は、ゲンブツ主義というか、メカ至上というか。実体のある構造とか主体の仕組みやはたらきをまず考えようね、エンジンとかカラダとか、あるべきメカニズムや状況をしっかり維持していこう。ビタミンとか薬とかいった“添加物”はそのあと。という考え方があって。
で、スロコンも、ビタミンとか薬とかいうエンジンの“添加物”という気持ちがどうしてもある。
物理的なスロットルケーブルが電気信号に代わった時点で、いまのクルマには必要な要素になってるんだけど、型式の古いおっさんには“添加物”なんだなぁ、どうしても。
要は、スロコン入れるって、疲れた体をユ●ケル飲んでごまかしてるみたいな「ソウジャナイ」感がつきまとっていて。だったら体の疲れをまず取らないとね、だから寝たほうがいいよ、おやすみ。みたいな考え方。
昔のCMにもありました「臭い匂いは元から絶たなきゃダメ」って。
この日ECUのプロの人と話していて、そんなおっさんの思いをさらに強くしたのでありました。
良くないところは、元から直さないと。
「だったら、ECU自体でなんとかならないの?」
という疑問が、そのプロの人と話しているうちにわいてきた。
—————–
- 前の記事
うちのアバルト プント、低回転構造改革:スロットルスペーサーってどうなの? 2017.09.06
- 次の記事
フランスから「禅の心」を教わった。[ ルノー トウィンゴ ZEN 5MTに試乗した] 2017.09.11