イタリアは「速いもん勝ち」だった。高速道路の走り方の違い
ずいぶん昔の話だけど、イタリアで太陽の道、アウトストラーダを走ったときのこと。
一番左側(右側通行なので)の追い越し車線はいつも空いていた。日本みたいにのんびり走ってるクルマは皆無。
走行車線を走ってるクルマが、前のクルマに追いついてしまったとか、そんなときに追い越し車線に出て、サッと前車を抜いて、ササッと走行車線に戻ってくる。あちらでは、追い越し車線とは本当に追い越したいときに使うレーン。いつも空いてるわけ。みんなの共有スペース、って感じだった。いま思うと。
でも、たまに景気よく追い越し車線をブッ飛んでくるクルマがいる。僕が見たときはアウディA4かなと思われるセダンだった。そいつがビューンっと走行車線を走る僕を抜いていったあと、慌てるようにして僕の前、走行車線に入った。僕の前にも遅いクルマは走ってたので、もっとビューンと追い越し車線を疾走し続けてもよかったはずなんだ。
そのアウディの挙動がおかしかったのでバックミラーを見たら、真っ赤なゴルフGTIがアウディ以上のスピードでカッ飛んできて、どえらい勢いで僕の左側をビュッと抜けていった。さっきのアウディなんかより全然速い。ほんとに「ビュッ」と瞬間的な衝撃音を残して視界から見る見る消えていく。
この驀進ゴルフをバックミラーで確認して、アウディは慌てて走行車線に避けたわけだ。
まさに、弱肉強食の世界だよな、ここは。と思いましたよ。つまり「速いもん勝ち」。
どんなクルマだろうが、速く走るヤツが早く行く。まわりもできる限り、そういうヤツを尊重する。そういう速さのヒエラルキーというか、秩序がアウトストラーダにはあった(今もそうだろうか)。
そんなことを、フィレンツェからミラノへ、ミラノからアレーゼ(アルファロメオのミュージアムがあるところ)を経由してコモ湖まで往復した道々で実感した。
これが日本だと、この国だけの「車格」とかいうおかしな概念があって、アウディを運転してるドライバーはゴルフなんかに道を譲らないだろう。実際、同じような光景によく出くわすし。ま、単にバックミラーを見てない不注意運転かも知れないけど。
また、一部の輸入車のドライバーは、平気で追い越し車線をゆっくり走ってる。確かに高い金払ってお高いクルマにお乗りで特権意識がおありのようなんですが、だからといって追い越し車線を専有して後続車に迷惑かけていい、そんな特権まで買ったわけじゃないでしょ。勘違いも甚だしい。そういう迷惑車ってドイツ系のクルマに多い(実数が多いからね)けど、「V」のつく北欧のクルマもちょいちょい見かける。特に中国資本になって売れるようになってからの新型車種に多い気がする。
そのほかにも、「追い越し車線をゆっくり走るとさ、前に誰もいなくなって気分いんだよ。しかもうちのエ●グ●ンドは運転席からの見晴らしもいいし」って真顔で言い放つバカが得意先にいた。これに近い意識で運転してるアホドライバーもけっこうな数いると思う。
先日の、このエントリを書いていて、アウトストラーダのあの整然と速いクルマの流れを思い出していた。
日本の“運転IQ”は、あのレベルにはとうてい行かないよな。クルマの数が多すぎるし、ドライバーのレベルも技術も低いし。
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