全固体電池が量産化されると聞いてワクワクしてきた[ でも合成燃料が僕はイイな ]

全固体電池が量産化されると聞いてワクワクしてきた[ でも合成燃料が僕はイイな ]

出光とトヨタが、EV用「全固体電池」の量産化に向けて協業することを発表しました。
トヨタの公式リリースはここ。画像もここから引用してます。この件に関して日経新聞などのメディアで報道されたけど、あまりにもバイアスかかりすぎで読みにくい、というか醜いので、大本営発表を貼っておきます。
今回はこれに関して、今まで感じてたことを書きたい放題しました。

ノーベル賞の学者先生はこう言った

コロナ禍直前、あるノーベル賞受賞の学者の講演をお聞きするチャンスに預かりまして。「リチウムイオン・バッテリー(LIB)を使って脱炭素をどう進めるか」といった内容だった。そこでノーベル賞の先生から、自動車のEV化に関して以下のような御託宣をいただいたわけです。
■自動車の脱炭素化を進めるには、、、
・CASE(ネット化+自動化+シェア+電動)の車両を実用化しなさい
 →シェアにより、所有に比べ費用は7分の1くらいにできるから普及するだろう
 →EVのバッテリーは低性能なものを使えばコストを抑えられる
・バッテリーが低性能なので航続距離は少ない(300〜400km程度)
 →なので長距離移動の場合は、EVを乗り継ぎなさい
  →次に使うビークルが自動機能を使って勝手に充電して指定の場所で待っててくれる
  →それを繰り返せば長距離移動も簡単!
  →EV普及でネックとなる、航続短い&移動先での充電問題も、これで解決!
・これで脱炭素が進んで、未来はめでたしめでたし(聴衆の拍手で終わった)
このノーベル先生の御託宣をまとめると、、、
●自動車はいろんな自動機能やサービスが一体化したEVをみんなでシェアして乗る時代にしなさい。
●ただ長距離は限界あるので、例えば東京から鹿児島に行くときは3回ないしは4回乗り換えてね。その際、スーツケースとかぬいぐるみとかの荷物を忘れずに積み替えてね。

乗り換えるって、マジで言ってんの?

ええっ!! こんな未来、ええのんか!? 俺は絶対イヤだぞ。もちろん脱炭素は大事だけど、こんな未来になるんだったらいらねぇよ(僕がいなくなってるかも)。大変貴重なご講演を拝聴しながら、気分はどっちらけになっちゃった。
ノーベル先生のお話なので理論、というか辻褄は合ってるけど、社会の状況とかニーズとか一般大衆の気持ちとか、そんなのカンケーネー、LIBを使って脱炭素をどうやって進めるかというだけの話でしかない。机上の空論とはまさにこのこと。だけど相手はノーベル先生だからこの講演を誰も止められなかったみたい。
それにしても乗り換えろって、おいおい、江戸時代の籠じゃないんだから。それに自動車のロングツーリングは、気ままにあちこち寄ったりしながら距離を進めることだったりするじゃないですか。もし、充電切れた場所がド田舎で乗り換えるEVが用意できなかったらどうすんの? 自分が乗ってきたEVに時間かけて充電するの? そうなるとスケジュール変えないとなんですけど、、、しかも乗り換えで荷物も載せ替えないといけないんでしょ。コートダジュールとかにバカンスに行くフランス人は絶対しない。そんな不便で不自由なツーリングなんかしたくないわ。だったら新幹線乗るわ、飛行機で飛ぶわ。

こんな夢のない話、すべてLIBのせいだと思う

それもこれも、すべてはLIBのせいだと思うのよ。確かにノーベル賞をもらえるくらいに従来製品をはるかに凌駕して、スマホとかPCとか小電力のデバイスの使い勝手や可能性をグンと広げた。
けど、大容量が必須でしかもヘビーデューティなクルマにはぜんぜん能力不足。充電に時間かかりすぎで不便だわ、うっかり傷つけると火が出て燃え続けて危険だわ、使ってるレアメタルのせいで値段どんどん高くなるわ、不便・危ない・高いの三拍子。美味い・安い・早いの吉野屋とは大違い。実際、LIBのEVは最近いろいろ問題とかトラブルが取り沙汰されてるし、LIB製造に不可欠のグラファイト(黒鉛)を買い占めた中国がいよいよ輸出規制するとかしないとか、キナ臭い話も出てきてるし。
僕の経験では、LIBのEVは充電時間がクソ長くて自動車としては致命的。一晩くらいの時間ないと満充電できないなんて、マジク●。急速充電もできるけど、入れられるのはたった半分程度だよ。役に立たない。EV派の人たちは、充電時間中にゆっくり休憩できるとか言うけどさ、詭弁だよ。夜中、家族が危篤になってすぐに病院行かなきゃならない、とかいうときに役立つのが自動車本来の役目なのに、「充電終わるまでそれまで頑張っててねおじいちゃん」なんて、そんなことありえない。人間の行動を道具に合わせないといけないなんて、いつからそんなに偉くなったんだ。道具の分際で。
こんなんじゃLIBのEVなんて、買えない。フツーの消費者はきっとそう思うはず。なので普及しない=脱炭素が進まない。

自動車屋さんが作った、自動車のための電池

けどさ。そんなこと、トヨタやニッサンなど自動車屋さんはお見通しだったんじゃないか。だから、いままで他の手だてを考えてたんじゃないか、と思うの。
そのひとつの答えが、今回発表があった全固体電池。特にトヨタなんか、20世紀の終わりからハイブリッドを手掛けてきて、使ってるLIBの良いところも悪いところもよーく知ってるわけだから。その中で、LIBは自動車用にはちょっとチガウよねー、これじゃちゃんとしたEVはムリー、、、的なことは分かってたはず。なのでLIBのEVにはちょっと及び腰だったんじゃないか(でもとりあえずお付き合いで出すねー、みたいな)、と勘ぐってるワタクシ。
今回の全固体電池は、自動車屋さんが作る、自動車のための蓄電池だ。電気で自動車を走らせるには電池にどんなことが必要か、それを知り尽くした自動車屋さんの知見が詰まってる(はず)。それを使ったEVは、スマホのを流用して手っ取り早く作ったEVなんかより、ちゃんと走れて便利で安全・安心になる(はず)。安く作れるかどうかまではまだメドが立ってないけど、それが可能になったらガソリン車から買い替える人も増えるんじゃないか。そうなれば本来の目的である、脱炭素化が進む。

LIBのEVはいつか消える?

2050年カーボンゼロの大騒ぎが始まった当初、付け焼き刃というかトンデモな“対策”がいろいろ出てきた。ウシのゲップには温室効果ガスが混ざっているからヤツらのゲップを止めろとか、もう爆笑するしかない。おまえら牛乳飲んだりステーキ食ったりしないのか。マジで言ってるんだったら、僕らも息止めて二酸化炭素吐かないようにしないといけなくなる。
実はLIBのEVも、実は付け焼き刃だったんじゃないか。よその国では、それ急げ!と、とりえあえず手近にあるスマホ用LIBを使ってEVを一生懸命に作って売ってきた。特に中国は世界の覇権を握る手段のひとつとして国を挙げてEVを全力で推して、補助金ばらまいてめちゃめちゃ作って売りまくってきた。けど、すでに中国ではEVの墓場ができてる。ヤッパツカエネってEVからディーゼル車に乗り換えた知り合いもいる。うっかり作って売っちゃったEVの大量廃棄が、これからまだまだ起こるかも。

けど、僕は合成燃料がいいな

そうこうするうち、クルマの領域にもようやくマジメに考えられた意義ある脱炭素メニューがいろいろ出揃ってきた、っていうのがいまなんじゃないか。イチから開発してるので時間がかかったけど、その分、これから出るモノやシステムには期待が持てる。
全固体電池のメドが立ちそうだし、FCEV(燃料電池車)はトラック業界で社会実験が進んでる。合成燃料はF1とかスーパーGTで使われてるし、水素エンジンもある。ミドリムシから作った燃料でバスが走ってる。ちょっと文脈は違うけど、ロータリーエンジンのEVとかも出たし。他にもいろいろある。

いま、EVの普及台数だけなら日本はかなり劣勢で、オセロで言えば盤面には黒い石が多くなってきた感じがするけど、これからようやくニッポン技術の本格反攻が始まる。風向きが変わる。黒い石は白にひっくり返る。ちょっと時間かかりそうだけど、期待している。
僕の推しは、合成燃料だな。いまのプントにそのまま乗り続けられるから。リッター300円くらいなら入れてもいいよ、脱炭素税込みだと思って払う。早く普及してくれないかな。それにガソリンスタンドとかのインフラがほぼそのまま使える。いまと同じやり方でクルマに乗れる、クルマが使える。いまのEVみたいに人間の行動を制限したりしないのがイイよね。